研究課題/領域番号 |
20K05428
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
勝木 明夫 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (70283223)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 磁気科学 / 磁気配向 / 磁場効果 |
研究実績の概要 |
磁場配向は,分子の磁気異方性に従い,分子が配向すると考えられている.実際には分子が配向すると考えるよりは,分子の集まり(凝集体)が配向することにより引き起こされていることが推測される.そのため,凝集体の大きさ,凝集状態の観測が必要と考えられている.磁場配向を示す代表的な化合物として芳香族化合物がある.そこで,機能性ゲルを用いて,様々な芳香族化合物をゲル内に取り込ませた.用いた機能性ゲルは温度により体積相転移を示すものである.相転移温度を境に,水を多く吸収した膨潤状態と水を放出した収縮状態を可逆的に示す.芳香族化合物の微結晶,凝集体,エキシマー,モノマーの状態変化を観測した.プローブとする芳香族化合物周囲の溶媒環境が膨潤状態と収縮状態で,極性環境と無極性環境と大きく変えることができるため,これにより凝集状態を変えることができる.ピレン,ペリレンはモノマーとエキシマーで蛍光が異なること,また極性の違いによって,モノマー蛍光の振動構造の強度比が異なることが知られているため,状態変化のプローブとして用いた.その結果,ピレンとペリレンについて,膨潤状態では,二量体の励起状態であるエキシマーが主に観測されるのに対し,収縮状態では,モノマーが主に観測された.また,顕微鏡による観測では,ピレンとペリレンで凝集状態が全く異なることがわかった.体積相転移による極性変化による凝集状態の変化を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ある大きさの凝集状態で磁場応答するアクティブマターになると推測されるが,ゲルの体積が約2倍変化するため,定量的な観測が困難である.現在,反応条件,測定条件の再検討を行っている状態である.
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今後の研究の推進方策 |
プローブとする分子として,他の芳香族化合物(テトラセン等),金属結晶に展開して反応条件,測定条件を検討する.現在,溶媒環境を変化させる方法として,ゲルの体積相転移を用いているが,他の材料,測定方法も検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,2020年度に購入を予定していた実験装置が配分予算超過のため,装置計画を練り直し,装置部品購入に変更したためである.次年度も引き続き装置部品購入に充てる.
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