研究課題/領域番号 |
20K05431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
墨 智成 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (40345955)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | タンパク質 / 疎水性相互作用 / 水和効果 / 分子内直接相互作用 / 共溶媒効果 / アルコール / 尿素 / 選択的溶媒和 |
研究成果の概要 |
本研究では,次の二つの問題に取り組んだ。一つは水中でのタンパク質構造安定性における水和効果の解明,もう一つはトリフルオロエタノール(TFE)および尿素によるタンパク質構造安定性に対する相反する共溶媒効果の分子機序の解明である。前者では,水は疎水基を嫌っておらずむしろ疎水基を好むため,天然構造の安定性は基本的にタンパク質の分子内相互作用に起因することを明らかにした。後者では,TFEは水酸基を介して側鎖と強く静電相互作用することにより,ヘリックスへの選択的溶媒和を強めてその安定化を導き,尿素は主鎖との相互作用を介してコイルへの選択的溶媒和を強めて,その結果,コイルの安定化を誘導することを示した。
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自由記述の分野 |
物理化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
タンパク質の水中での構造安定性機構では,約60年もの間,Kauzmannによる「疎水性相互作用仮説」が,中心的役割を果たしてきた。実際,生化学や分子生物学の教科書には必ず,タンパク質の構造安定性における疎水性相互作用の重要性が説かれており「疎水基に対する水からの反発力により,疎水基間に水を介した実効的引力が働く」と説明されている。本研究による結論は,長年信じられてきた疎水性相互作用仮説に対する再検討の必要性を指摘しており,新たな水和の役割,すなわち分子内相互作用により構造化されたタンパク質をむしろ不安定することにより構造の柔軟性をもたらし,機能発現に必要なゆらぎを導いていることが示唆される。
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