光ピンセットを用いてコロイド粒子をライン拘束する際に、ライン上に形成される拘束ポテンシャルの形状をパラボラ型にするための電圧VS時間曲線の逆計算をしたので、これをファンクションジェネレーターに細かくインプットした。光ピンセットで得た画像データからコロイド粒子の中心点を光学顕微鏡の位置分解能を超えるレベルで検出する独自の画像解析プログラムを仕上げた。その際、3種の方法(C型関数・縦かっこ型関数・外接円)による画像解析プログラムを作成した。また、既存のBechingerらによる画像解析法との比較も行い、我々の方法の方が一般に正確である事をモデル計算により確認した。 本研究を通してこれまでライン光ピンセットとダブルビーム型光ピンセットで平均力ポテンシャルを求める理論を構築してきた。また、トリプルビーム型光ピンセットで三体相互作用を求める理論も導出した。それに続いて、今年度はライン光ピンセットで三体相互作用を求める理論、さらに、円形のナノポアに存在する2つの蛍光分子やコロイド粒子間の二体相互作用を求める理論も導出した。これは生体膜内に存在する膜タンパク質ー膜タンパク質間の二体相互作用を求める際に利用できると考えて導出した。 本研究期間と科研費のお陰で、光ピンセットから従来よりも正確に平均力ポテンシャルが求められるようになった。これにより本研究の目標である、コロイド粒子ーコロイド粒子間の平均力ポテンシャルを正確に求める事が達成された。そして、次の目標であるコロイド粒子表面に修飾された高分子の密度分布を求める事にも近づくことができた。高分子の密度分布に関しては、既存の簡易的な理論から求める方法と独自の高分子統計力学による逆計算法に分ける事ができる。前者は光ピンセットから平均力ポテンシャルが得られたらフィッティングにより算出出来る。後者は現在も開発中である。
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