研究課題/領域番号 |
20K05439
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小泉 健一 国立研究開発法人理化学研究所, 科技ハブ産連本部, 研究員 (90573056)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 第一原理分子動力学法 / 第一原理計算 |
研究実績の概要 |
第一原理分子動力学法によって光学材料であるシンチレータの材料となる鉛ゴム石および、その類縁体において基底状態の動力学計算を行い、また同時に静的な第一原理計算によって電子構造を明らかにした。高い並列化効率によって鉛という、多数の電子を持っている重い原子における計算も可能となった。第一原理に基づく電子状態計算によってフェルミレベルの位置が類縁体ごとにことなり、あるものはp型の半導体、あるものはn型の半導体になっていることを明らかにした。これによってあるものはその界面で電子吸引的に働くことが明らかとなった。第一原理に基づいた動力学計算によって、類縁体全てにおいて結晶の特定の酸素原子は比較的緩く保持されていることを明らかにした。この特定の酸素原子は電荷の計算によって周辺の電子密度の薄い部分にあることがわかり、この薄い電荷密度による弱い化学結合のためにゆるく結合されていることを明らかにした。これらの物質では表面で特定の酸化反応が起こることも報告されており、これらの酸素原子がソースになっていることも示唆された。電子吸引的な性質もこの酸化反応を促進させている可能性がある。これらの計算によってによって基底状態の第一原理分子動力学法は確立できたと言える。さらに進んで励起状態のダイナミクスを追跡できるようにプログラム開発を行っていく。また溶液系を対象とした周期境界条件下での計算を可能にするように開発していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基底状態の第一原理分子動力学方は完成できたため今後は励起状態の分子動力学法の開発を進める。基底状態についてはすでに学術論文を出版した。
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今後の研究の推進方策 |
基底状態の第一原理分子動力学方は完成できたため今後は励起状態の分子動力学法の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額のため、次年度に持ち越しとした。
今年度の予算として消費する予定である。
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