「柔粘性結晶」と呼ばれる一群の物質は,融点直下で配向無秩序相を呈し,さらに低い温度では通常の結晶状態をとる.配向無秩序相とは,分子が格子点にとどまっていながら,配向はランダムになっている状態である.本研究では,テラヘルツ分光法などによって,柔粘性結晶の相転移における分子レベルでの挙動,具体的には高濃度の内因性欠陥の発生等について体系的かつ詳細な知見を得た.また,不純物の添加による欠陥の導入についても仔細に観測・評価することができた.さらに,カンファーキノンが柔粘性結晶であることも新たに発見された.
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