複数の分子が集積して形成される超分子複合体の研究は、単一の分子では見られないユニークな光学特性を示すことで知られるJ会合体を対象にしたものが多く、会合体形成に有利な大きなπ電子系や大きな双極子モーメントをもつ分子に焦点が当てられてきた。本研究では、分子軌道間の位相分布のマッチングや、会合体を安定化させるためのアンカーとして働く置換基修飾、また溶媒に対する高い溶解性などが達成されれば、例えサリチル酸メチルのような小さなπ電子系分子においても、複数の分子間に広がる集団励起状態を実現可能であることを初めて示した。本成果をまとめた論文は高い評価を受け、雑誌のカバーアートにも採用された。
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