研究課題/領域番号 |
20K05452
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
米村 弘明 崇城大学, 工学部, 教授 (40220769)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 三重項-三重項消滅 / 光アップコンバージョン / 光二量化 / 磁場効果 / シクロデキストリン / 超分子 |
研究実績の概要 |
光増感剤である水溶性白金ポルフィリンテトラカルボン酸(PtTCPP)‐9-アントラセンカルボン酸(9-AntD)の緩衝液(pH=9.18)にγ-シクロデキストリン(γ-CD)を無添加系と添加系の水溶液をFreeze-pump-thaw-cycleで脱気後、アルゴン置換してサンプル水溶液を調製した。サンプル水溶液を電磁石中に置き、温度一定で外部磁場を変化させながら、レーザー(532 nm)を用いて吸収スペクトルの時間変化を測定した。さらに、光照射前後での溶液成分についてNMRによって評価した。光増感剤としてPtTCPPを添加する事で、9-AntDに吸収がない532 nmの光照射によって、照射時間に伴い9-AntDのAntに帰属される吸収が減少することを観測した。光励起によって、PtTCPPの励起三重項から9-AntDにエネルギー移動が起こり、Ant励起三重項(t9-AntD*)が生成し、t9-AntD*同士のTTAを経てAntの光二量化反応が進行している事が示唆された。また、光照射に伴うNMRスペクトルにおける9-AntDの芳香環プロトンの変化によって光二量化反応が起こっている事を確認した。 次に、TTAに基づく光二量化反応に対する磁場効果を検討した。磁場印加(0.5 T)と無印加(0.0 T)における光二量化反応速度をγ-CD無添加系とγ-CD添加系で比較した。γ-CD無添加系では磁場印加した場合の速度定数が無印加の場合のものより小さくなり、磁場印加によって、9-AntDの光二量化が抑制されている事がわかった。一方、γ-CD添加系では磁場印加した場合の速度定数が無印加の場合のものより大きくなり、磁場印加によって、9-AntDの光二量化が促進されている事がわかった。このγ-CD有無の磁場効果の相違は、(9-AntD)2-γ-CD超分子形成が原因と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三重項-三重項消滅(TTA)を活用したアントラセン誘導体の光二量化反応に対する磁場効果に及ぼす超分子(γ-シクロデキストリン(γ-CD))の効果を検討した。γ-CD添加系とγ-CD無添加系では、TTAを活用したアントラセン誘導体の光二量化反応に対する磁場効果が異なった。言い換えれば、TTAを経由するPUCを経る光反応に対する磁場効果及ぼす超分子の効果を初めて観測した。 また、アントラセンの置換基による生成する二量体の異性体の生成比が磁場印加もしくはγ-CD添加によって変化する事が、NMRスペクトル解析から明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、金ナノ粒子などの金属ナノ粒子を添加することで、三重項-三重項消滅(TTA)を活用したアントラセン等の光二量化反応に及ぼすプラズモンの効果とプラズモンと磁場の相乗効果について検討する。また、一重項励起子分裂(SF)による三重項励起子生成に対するプラズモンと磁場の相乗効果についても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で当初対面が予定された学会がオンラインに変更になり、旅費の支出ができなかったため次年度に繰り越した。繰り越した金額は試薬等の消耗品の購入に使用する予定である。
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