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2022 年度 実績報告書

フッ素置換ヘリセンの特異な反応性と空間を介したフッ素原子の電子効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K05471
研究機関山形大学

研究代表者

村瀬 隆史  山形大学, 理学部, 准教授 (70508184)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードヘリセン / フッ素 / ドミノ反応 / Diels-Alder反応 / 光反応
研究実績の概要

[7]ヘリセンの末端のベンゼン環にフッ素を4個導入すると、ドミノ光反応が起きる(Commun. Chem. 2018, 1, 97)。スチルベン誘導体の酸化的光環化で生成するF4-[7]ヘリセンは、光誘起Diels-Alder反応により上下のベンゼン環が架橋する。さらに光照射で芳香族化を駆動力として、フッ素が2個転位する。一方、縮環数が1個異なるF4-[6]ヘリセンやF4-[8]ヘリセンでは、光と熱の両方でDiels-Alder反応が起きない。令和4年度は、ドミノ反応性を示す新たなフッ素置換ヘリセンを設計した。
末端がフッ素化されたチア[6]ヘリセン(F4-チア[6]ヘリセン)は、電子豊富なチオフェン環(ジエン)と電子不足なF4-ベンゼン環(ジエノフィル)との間でフロンティア軌道の位相が重なるため、Diels-Alder反応が起きると考えた。スチルベン誘導体の酸化的光環化でF4-チア[6]ヘリセンの合成を試みたが、脱水素(-2H)に優先してC-S結合が切断された。そこで、チオフェン環の2位にBrを導入し、脱臭化水素(-HBr)を伴う光環化を行ったところ、F4-チア[6]ヘリセンを収率20%で得た。単結晶X線構造解析より、F4-チア[6]ヘリセンのジエン部位とジエノフィル部位の距離は、F4-[7]ヘリセンよりも離れていた。光反応生成物を詳しく調べると、F2-コロネンが少量含まれており、Diels-Alder反応後に、硫黄と2個のフッ素の脱離が起きていた。この骨格変換は、非平面らせん化合物を押しつぶして、平面円盤化合物にすることを意味しており興味深い。
研究期間全体を通して、フッ素置換[7]ヘリセンが示すドミノ光反応とシリカゲル上での骨格変換を解明した。さらに、フッ素置換チア[6]ヘリセンが、フッ素置換[7]ヘリセンとは異なるドミノ光反応を起こすことを発見した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Domino Transformation of Fluorinated [7]Helicenes Involving Fluorine Rearrangement and Elimination2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Murase
    • 学会等名
      令和4年度化学系学協会東北大会
  • [学会発表] フッ素置換[7]ヘリセンのドミノ光反応後に進行する骨格変換2022

    • 著者名/発表者名
      村瀬 隆史,松田 千可子,五十嵐 遼
    • 学会等名
      第45回フッ素化学討論会

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公開日: 2023-12-25  

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