研究成果の概要 |
本研究ではフラーレン構造の高度な分子変換を達成するために, π-ルイス酸性触媒を用いたアルキンの活性化を起点として進行するドミノ型の反応開発を遂行した。その結果, 第三級のプロパルギルリン酸エステル誘導体を用いることで八員環開口フラーレンを一段階で合成できることを実証するとともに, 第二級の誘導体を用いた場合に共役系の連結したシクロブテノフラーレンを一段階で合成できることを見出し, その反応機構を実験および理論の両面から明らかにした。テザーで連結したプロパルギルリン酸エステル誘導体を用いたフラーレンへの多重開口/修飾反応では, 副反応であるエンイン構造体の生成が優先する結果となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ナノサイズのサッカーボール状構造を有する分子状炭素であるフラーレンに対して, その分子構造を大きく変化させることのできる一段階反応の開発に成功した。フラーレンの電子的・光学的性質は, その分子構造に起因していることから, その分子構造が変化することで, これまでにない物性の発現が期待できる。本研究で開発した反応を用いることで, フラーレンのサッカーボール構造に穴を開けることや, フラーレンと導電性分子を連結させたりすることができる。これにより, フラーレンからなる新たなガス貯蔵材料, 半導体材料や光捕集材料などへの応用展開が期待できる。
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