研究課題/領域番号 |
20K05481
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
村田 剛志 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (40535358)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 有機中性ラジカル / 縮合多環構造 / 分子間水素結合 / 水酸基 / プロトン授受能 |
研究実績の概要 |
令和2年度はトリオキソトリアンギュレン(TOT)の炭素骨格の頂点部(β位)に1~3個の水酸基を導入した誘導体の合成に成功した。臭素置換体からボロン酸化、酸化反応を経て選択的かつ効率的に合成することができた。そのうち、1つの水酸基をもつ誘導体の閉殻アニオン種については単結晶X線構造解析に成功し、分子間水素結合によるネットワーク構造を持つことを明らかにした。また、閉殻アニオン種を用いてpH可変電子スペクトル測定を行い、水酸基の酸解離定数を明らかにした。また、脱プロトン化により光吸収特性や酸化還元能が変化する様子を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の合成ターゲットの1つであるTOT骨格の頂点部(β位)に水酸基を導入した誘導体の合成に成功し、分子間水素結合やプロトン授受に関わる基礎物性を明らかにした。これらの知見は、もう一つのターゲットであるα位置換体の設計・合成ならびに物性調査においても有益な情報である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、令和2年度に得られた成果をもとにβ位に水酸基を導入したTOT誘導体の中性ラジカル種の合成と物性解明を行う。また、TOT骨格のα位に水酸基をもつ誘導体の合成と物性解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度はコロナ禍のため学会出張および依頼測定に行く機会がなく、その分の旅費などの費用が余った。その分は、令和3年度の依頼測定とその出張旅費に主に用いる予定である。
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