研究課題
令和4年度は、トリオキソトリアンギュレンの炭素骨格の頂点部(β位)に水酸基を導入した誘導体について、中性ラジカル種の合成を行った。3つの水酸基をもつものでも、その中性ラジカル種は他のトリオキソトリアンギュレン誘導体と同様に、大気下でも高い熱的安定性を示した。また、固体電子スペクトルにおいて、中性ラジカルが一次元的なπ積層構造を形成した時に特徴的な近赤外光吸収帯が観測された。さらに赤外吸収スペクトルでは分子間で強い水素結合を形成していることも示唆された。現時点で単結晶X線構造解析は行えていないが、これらの結果は固体中で強い分子間のスピンースピン間相互作用と水素結合が共存していることを示している。圧力や温度といった外部刺激に対してプロトン移動を伴う電気伝導性や磁気物性の応答機能の発現に興味が持たれる。また、水酸基部分での置換基変換の検討を行い、アルキル鎖やエステル体など様々な置換基を簡便に導入できることを明らかにした。
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