研究課題
本研究課題は、製剤中の低分子医薬品(API: active pharmaceutical ingredient)の結晶構造を一切の前提条件なしに解くことを目的とする。全体の結晶構造は3D電子回折法(3D ED, microED)により行う。一方で3D ED法には、水素原子の位置の精密測定や炭素・窒素・酸素原子の明瞭なアサインを行うにあたって問題があった。申請者らの先行研究により固体NMRがこれらの問題を解くうえで非常に有用であることが2019年に示されていた。本課題においては、初年度(2020年度)に製剤そのままで分離することなくAPIの固体NMR測定を行う技術を確立した。さらに次年度(2021年度)には、水素位置の精密測定を目指し1H-14Nの距離測定技術の開発、また3D EDで得られた構造を1H-14N距離を用いて精密化する技術を確立した。これにより、当初目的としていた技術開発の基盤部分は達成することができた。最終年度(2022年度)には、技術のさらなる高度化を目指し長距離の1H-14N相関測定法の確立を行った。さらにキニーネの結晶構造解析など実用的な応用を積極的に進めた。今後の手法の進展を目指し、本課題で開発した測定手法をアモルファス試料の構造解析に用いた。実用材料の解析を目指し、IISER KolkataのProf. Rahul Banerjeeと強力な共同研究を推進し、共有結合によるナノチューブ、ナノシートの構造解析やその反応機構の解明に貢献した。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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