• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

二官能性有機触媒による官能基集積型四置換不斉炭素の構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K05491
研究機関京都大学

研究代表者

浅野 圭佑  京都大学, 工学研究科, 助教 (90711771)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード官能基集積型四置換炭素 / 有機触媒 / 多点認識型不斉反応場 / エナンチオ選択性 / 官能基選択性
研究実績の概要

本研究では、申請者がこれまでに確立してきた有機触媒による穏和な活性化法を利用する反応技術を基盤に、中性に近い多点認識型不斉反応場を設計することで、酵素触媒に頼らず高い一般性で官能基集積型四置換炭素を不斉構築する反応の実現を目指している。穏和な水素結合により基質を多点で活性化する二官能性有機触媒やキラル二点Lewis塩基触媒とケイ素がつくる不斉反応場を利用して、触媒による基質の多点認識により高いエナンチオ選択性を実現しながら目的の生成物を高収率で得るための高効率触媒を設計・開発した。
まず、二官能性有機触媒による複素環形成を経由する四置換不斉炭素の構築について研究を進めた。2020年度に開発したシアノヒドリンの動的速度論的分割を伴う環化反応やgem-ジオールの非対称化伴う環化反応により四置換不斉炭素を持つ光学活性テトラヒドロピラン環を構築する反応からさらに展開し、ケトンから系内で生成するエノールが求核剤になる不斉分子内オキシマイケル付加反応も開発した。この生成物は糖類縁体の不斉合成中間体になり、変換により四置換不斉炭素を構築できた。
また、多点認識型触媒による多官能性ケトンの官能基・エナンチオ選択的シアノ化反応の研究もさらに進めた。アシルシラン・オルトキノンモノアセタールの不斉シアノ化反応、およびカルボニル化合物のトリハロメチル化反応を開発した。いずれの触媒系も、様々な官能基を有する基質からでも副反応を起こさず目的の高エナンチオ選択的反応を実現し、官能基集積型四置換不斉炭素の構築につながった。また、アシルシランのシアノ化反応の生成物(アシルシランシアノヒドリン)は不安定なため、導入したシアノ基をさらに変換することが不可能だったが、アシルシランシアノヒドリンを保護する触媒反応を独自に開発し、この問題を解決した。
これらの研究成果に関しては論文および学会にて既に発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初予定していた研究計画はおおよそ遂行でき概ね良い結果を得ていることに加え、それらの知見を活かして計画以上の反応開発にも研究を展開した。これまでに得た研究成果に関して複数の論文を発表・投稿した。現在は、これまでの研究成果を基盤にしてさらに研究を発展させており、当初の計画よりも研究構想に広がりが見え始めている。以上の状況から、全体として研究は当初の計画以上に進展していると考えた。

今後の研究の推進方策

反応条件を最適化したオルトキノンモノアセタールの不斉シアノ化反応に関して、基質適用範囲の拡大、生成物の合成化学的利用の研究をさらに進める。また、関連する求核性有機触媒を利用して予備的に見いだしているカルボニル化合物のトリハロメチル化反応に有効な不斉触媒を開発する。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Non-Enzymatic Catalytic Asymmetric Cyanation of Acylsilanes2022

    • 著者名/発表者名
      Tagui Nagano, Akira Matsumoto, Ryotaro Yoshizaki, Keisuke Asano,* and Seijiro Matsubara*
    • 雑誌名

      Communications Chemistry

      巻: 5 ページ: 45

    • DOI

      10.1038/s42004-022-00662-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Catalytic Asymmetric Cycloetherification via Intramolecular Oxy-Michael Addition of Enols2021

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi Murata, Keisuke Asano,* and Seijiro Matsubara*
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 97 ページ: 132381

    • DOI

      10.1016/j.tet.2021.132381

    • 査読あり
  • [学会発表] 炭素-炭素二重結合の有機触媒機能開拓2022

    • 著者名/発表者名
      浅野 圭佑
    • 学会等名
      第24回ケムステVシンポ「次世代有機触媒」
    • 招待講演
  • [学会発表] 光駆動二官能性シクロオクテン触媒の開発2022

    • 著者名/発表者名
      島津 拓斗・長野 倫・浅野 圭佑・松原 誠二郎
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会(2022)
  • [学会発表] シクロオクテン触媒による芳香族臭素化反応2022

    • 著者名/発表者名
      坂口 莉久・島津 拓斗・長野 倫・浅野 圭佑・松原 誠二郎
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会(2022)
  • [学会発表] 生体適合触媒反応を指向した臭素化剤の開発2022

    • 著者名/発表者名
      吉田 楽人・長野 倫・村田 竜一・浅野 圭佑・松原 誠二郎
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会(2022)
  • [学会発表] Deceleration of Halogenation with trans-Cyclooctene Derivatives2022

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi Murata, Keisuke Asano, and Seijiro Matsubara
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会(2022)
  • [学会発表] Development of Bifunctional Cyclooctene Catalysts2022

    • 著者名/発表者名
      Tagui Nagano, Keisuke Asano, and Seijiro Matsubara
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会(2022)
  • [学会発表] フッ化物イオンの系内生成を利用した触媒的トリハロメチル化反応2022

    • 著者名/発表者名
      徳山 大弥・浅野 圭佑・松原 誠二郎
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会(2022)
  • [学会発表] 多点活性化有機触媒による選択的反応2021

    • 著者名/発表者名
      浅野 圭佑
    • 学会等名
      第1回若手重水素研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Carbon-Carbon Double Bonds as Catalytic Sites for Selective Organocatalysts2021

    • 著者名/発表者名
      Tagui Nagano, Keisuke Asano, and Seijiro Matsubara
    • 学会等名
      第12回大津会議 Otsu Conference 2021―有機合成の夢を語る―
  • [学会発表] 二官能性トランスシクロオクテン触媒によるハロラクトン化反応2021

    • 著者名/発表者名
      長野 倫・浅野 圭佑・松原 誠二郎
    • 学会等名
      第50回複素環化学討論会
  • [学会発表] Organocatalytic Access to Tetrasubstituted Chiral Carbons Integrating Functional Groups2021

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Asano
    • 学会等名
      The 2021 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2021)
    • 招待講演
  • [学会発表] Desymmetrization of gem-Diols via Enantio- and Diastereoselective Cycloetherification Using Bifunctional Organocatalysts2021

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi Murata, Akira Matsumoto, Keisuke Asano, and Seijiro Matsubara
    • 学会等名
      The 2021 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2021)
  • [学会発表] Design of Chiral trans-Cyclooctene Ligands in Rhodium-Catalyzed 1,4-Addition2021

    • 著者名/発表者名
      Tagui Nagano, Shunsuke Einaru, Kenta Shitamichi, Keisuke Asano, and Seijiro MatsubaraTagui Nagano, Shunsuke Einaru, Kenta Shitamichi, Keisuke Asano, and Seijiro Matsubara
    • 学会等名
      The 2021 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2021)
  • [備考] 京都大学大学院 工学研究科 材料化学専攻 松原研究室

    • URL

      http://smatsubara.wixsite.com/matsubara-kyoto-u

  • [備考] 有機触媒の化学

    • URL

      http://smatsubara.wixsite.com/matsubara-kyoto-u/organocatalysts-jp

  • [備考] Publications

    • URL

      http://smatsubara.wixsite.com/matsubara-kyoto-u/publications-jp

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi