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2020 年度 実施状況報告書

第二級アルキル炭素上での高速アルキルカップリング反応の新展開と挑戦的な合成戦略

研究課題

研究課題/領域番号 20K05501
研究機関明治大学

研究代表者

小林 雄一  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (90153650)

研究分担者 小川 熟人  明治大学, 理工学部, 専任講師 (50611109)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードアルキルカップリング反応 / プロパルギルカップリング反応 / 銅触媒 / 第二級炭素 / 有機リチウム試薬 / 芳香族Grignard試薬
研究実績の概要

第一級アルキル炭素系基質と有機金属試薬とのカップリング反応は様々な金属触媒を用いて行える。この反応が第二級アルキル炭素系で進行すると,光学活性化合物が合成でき利点がある。しかし,第一級炭素と異なり,第二級アルキル炭素では立体障害が大きく,1つだけ報告されている CuI を触媒とする第二級トシラートとGrignard試薬 (RMgBr) 系では24時間を要し,求核性の乏しい MeMgBr は反応しない (Liu, JACS, 2012)。これに対し,我々は最近,反応を30分で完結できる Pyridine-SO3 基質/Alkyl Grignard試薬 (RMgBr)/Cu(OTf)2 (触媒) 系を見出した (Org. Lett., 2019)。Me基も問題なく反応した。本研究の1年目では,この知見を基にして以下の研究を行なった。(1) 試薬の幅を広めるため,RMgBrではなく,有機リチウム (RLi) を用いて反応を検討した。RLi として,n-BuLi と MeLi を用いて,Cu(OTf)2 (触媒) 存在下,Ph(CH2)2CH(OSO2Py)Me (基質) と反応させたが,目的のカップリング反応ではなく,Pyridine-SO3 基との反応が進行した。続いて,MgX2 を加えたところ,目的のカップリング反応が進行した。MgX2 の X として Br も Cl も使えた。(2) Aryl Grignard試薬 (ArMgX) を用いたカップリング反応も開始した。手始めにに PhMgX/Ph(CH2)2CH(OSO2Py)Me (基質)/Cu 触媒で検討したところ,Cu(OTf)2 とは異なるCu塩に高い触媒活性が見られた。(3) 第二級炭素系基質として,プロパルギルアルコール誘導体を取り上げ,カップリング反応を検討した。この際,Pyridine-SO3 誘導体も Pyridine-C(=O)O 誘導体は不安定であり基質としてそぐわなかったが,(EtO)2P(=O)O 誘導体は安定であり,カップリング反応は円滑に進行した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ渦に対する大学の方針により研究時間が削減されたが,研究実績概要に記載の (1)~(3) の研究を軌道に乗せることができた。
(1) の有機リチウム (RLi) を用いるカップリング反応では,n-BuLi と MeLi を用いて反応を検討した。(1) がひと段落した後に開始した (2) の Aryl Grignard試薬 (ArMgX) を用いるカップリング反応では PhMgX について検討し,Cu(OTf)2 とは異なるCu塩に高い触媒活性が見られた。(3) 第二級炭素系基質として,プロパルギルアルコール誘導体を取り上げ,カップリング反応を検討した。(1) の成果は,2020年12月の環太平洋化学国際会議 (Pacifichem2020) で発表予定だったが,中止となったため,2021年12月に発表予定である。(3) の研究は論文発表した (Chem. Eur. J.)。

今後の研究の推進方策

(1) の Ph(CH2)2CH(OSO2Py)Me (基質) に対する n-BuLi や MeLi のカップリング反応を RI と t-BuLi から調製できる RLi に拡張する。さらに,光学活性な基質を用いてラセミ化の有無を調べる。光学活性体は PhC≡CC(=O)Me の不斉還元を経由して合成する。キラルプールを経由する合成法も取り入れ,検討する基質に幅をもたせる。Ph(CH2)2CH(OSO2Py)Me (基質) と PhMgX/Cu 塩 (触媒) の反応条件を様々な ArMgX または,様々な第二級基質について検討し,適応範囲を精査する。第二級プロパルギルホスフェートの反応を応用してヘリアヌオールや類似構造をもつ生理活性化合物を合成する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ渦に対する大学の方針により研究時間が削減された影響で,試薬や溶媒の購入量が減った。一方で,こうした中において成果が得られた。日本化学会春季年会 (2021年3月) における発表は見送った。
2021年度では,試薬や溶媒の購入,機器類,光学活性体の分析にかかる試薬と溶媒,学会発表,論文校閲,などに使用する予定でいる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] α‐ and γ‐Regiocontrol and Enantiospecificity in the Copper‐catalyzed Substitution Reaction of Propargylic Phosphates with Grignard Reagents2021

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Kobayashi, Yuji Takashima, Yuuya Motoyama, Yukari Isogawa, Kyosuke Katagiri, Atsuki Tsuboi, Narihito Ogawa
    • 雑誌名

      Chem. Eur. J.

      巻: 27 ページ: 3779-3785

    • DOI

      10.1002/chem.202004413

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Alkyl Pyirdinesulfonates and Allylic Pyridinecarboxylates, New Boosters for the Substitution at Secondary Carbons2020

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Kobayashi
    • 雑誌名

      Heterocycles

      巻: 100 ページ: 499-546

    • DOI

      10.3987/REV-19-919

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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