研究実績の概要 |
申請者は、2-ピリドンを共役ブレンステッド酸・塩基触媒として利用することを独自に発想し、これまでエステルのアミノリシス反応、Passerini型三成分連結反応によるα-ヒドロキシアミドの合成、および、Interrupted Passerini反応を報告してきた。2022年度は、本Interrupted Passerini反応の基質適用範囲、および、その生成物の官能基選択的な変換を検討した。その結果、本Interrupted Passerini反応生成物を酸処理すると骨格変換を伴い、ジヒドロカルボリンへ変換できること、NaBH4で還元するとキラル有機触媒やキラル配位子として有用なプロリノールに導けることを見出した。また、Interrupted Passerini反応生成物にGrignard試薬を作用させると、インドリンの2位選択的なアルキル化が可能であり、さらに、任意のカルボン酸とイソシアニドを作用させるとJoullie-Ugi反応が進行し、多官能基化した四環性フロインドリンが得られることを見出した。これらの反応は、ワンポットでも遜色なく進行するため合成的にも簡便である。これら反応は、いずれも高いジアステレオ選択性で得られたことが特筆される。また、これら化合物群の中から、有用な生物活性を示す化合物も見出している。現在、これら反応の不斉触媒化を検討している。 本成果の一部分は、2022年度にChemical Communicationsに公表した(Chem. Commun., 2022, 58, 11701-11704.)。残る成果については現在論文執筆中である。
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