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2020 年度 実施状況報告書

異なる置換基を有する多置換フルベンの合成とエレクトロクロミズム材料への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K05505
研究機関埼玉大学

研究代表者

木下 英典  埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20550007)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードフルベン / エレクトロクロミズム / 合成 / 物性評価
研究実績の概要

我々は、パラジウム触媒を利用することによって、 1,3-ビスシリル-6-アリールフルベンを高収率かつ完全な位置および立体選択性で合成する方法を見出した。この方法は、6 位に多様なアリール基を有するフルベンを合成することが可能であり、またフルベンの 1 位に置換したシリル基は、アリール基へと変換が可能であるため、1 位と6 位に2種類の異なるアリール基が置換したフルベンも合成可能である。この方法で合成したフルベンのいくつかはエレクトロクロミック特性を有することがわかった。
6 位にナフチル基を有するフルベンのサイクリックボルタンメトリー測定をしたところ、酸化還元反応が可逆的に進行していることが確認された。また、このフルベンのアセトニトリル溶液に、-2.1 Vの電圧を印加したとき、吸光度の顕著な変化が見られた。さらに、0 Vでは無色透明のフルベンのアセトニトリル溶液が、-2.1 Vの電圧を印加すると黄色に発色し、電圧を 0 Vに戻すと、無色透明の溶液に戻った。このように、負電圧印加時にエレクトロクロミック特性を示すフルベンの合成に成功した。次にフルベンの置換基を種々検討した結果、6 位にアントラセニル基を導入したフルベンは、0 Vでは黄色の溶液であり、-1.8 Vの電圧を印加すると赤色に、+1.4 Vの電圧を印加すると青緑色に色調が変化し、印加電圧に応じて1つの分子で3つの色を示すことがわかった。
以上のようにこれまでに、フルベンとその置換基によるエレクトロクロミック特性について研究を行った。当初負電圧の印加時のみ色調の変化が確認されていたが、フルベンの 6 位の置換基を変えることで、正負両電圧の印加時に色調が変化し、三色に変色するフルベンの合成にも成功した。得られた結果は論文として公表する予定であり現在投稿準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

1年目では、主に負電圧印加時におけるフルベンの置換基による変色挙動を調べることを目標としていたが、置換基の検討を進める中で、正負量電圧印加時に異なった色調に変色するフルベンの発見に至ったため、当初の計画以上に進展していると評価した。
正負両電圧印加時に異なった色調に変色するフルベンは、新たな置換フルベンの合成法を開発した後に達成される課題と考えていたが、現在取り組んでいるフルベンでも当初の3年間の目的である正負量電圧印加時に異なった色調に変色するフルベンの合成に至った。
今後は、新たな置換フルベンの新規合成法の開発に注力し、これまで合成できなかったフルベンの合成とその電気化学的性質の解明を行う。

今後の研究の推進方策

今後さらに置換フルベンの別の合成法を検討し、異なった置換基を有するフルベンの効率的合成法を開発する。また、合成できた置換フルベンのエレクトロクロミズム特性を調べる計画である。具体的には、これまでに合成例が存在しない 1,3,6-位にそれぞれ異なったアリール基を有するフルベンを合成する新たな方法を開発し、そのエレクトロクロミズムを初めとした電気化学的性質を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

当初,学会発表などで得られた結果を公表する予定であったが、新型コロナウイルス禍により学会がオンライン開催となったため旅費として計上した額がそのまま未使用となった。
また、当初の計画より研究が順調に進んだため、合成試薬や合成にともなう器具やガス類の消費が抑えられたため、次年度使用額が生じた。2年目以降はチャレンジングな合成反応の開発を行う計画であるため、有効に研究費を活用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 多置換フルベンの合成とエレクトロクロミック特性2020

    • 著者名/発表者名
      立村亮太、木下英典、三浦勝清
    • 学会等名
      第10回 CSJ 化学フェスタ

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公開日: 2021-12-27  

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