研究実績の概要 |
1,3,6-位に異なるアリール基を導入したフルベンの合成を実現した。 当初の計画では、すでに報告している(E)-1,3-ビスシリル-6-アリールフルベンを用い、逐次的に1-位と3-位のシリル基をアリール基に変換する計画であったが、精査したところ、この方法では目的の1,3,6-位に異なるアリール基を導入したフルベンが合成できないことが明らかとなった。その原因は、3-位のシリル基がアリール基はおろかハロゲン基にも変換できないためである。 そこで、1,4-ジアリール-1-ヨード-1,3-ブタジエンとトリメチルシリルアセチレンとのパラジウム触媒を用いた連続的な反応により目的とする1,3,6-位にそれぞれ異なったアリール基を有するフルベンが合成できると考え検討を行った。その結果、対応する(E)-3,6-ジアリール-1-シリルフルベンが良好な収率で合成できることを見出した。用いる1,4-ジアリール-1-ヨード-1,3-ブタジエンのアリール基を種々変更することにより、異なったアリール基を3,6-位に有する(E)-3,6-ジアリール-1-シリルフルベンが立体および位置選択的に合成できることも明らかになった。さらに、トリメチルシリルアセチレンの代わりに、種々のシリル基を有するシリルアセチレンを用いれば、1-位に対応するシリル基を有する(E)-3,6-ジアリール-1-シリルフルベンが効率的に得られることもわかった。 種々検討の結果、1-位にイソプロポキシ(ジメチル)シリル基を有するフルベンに対して、反応系中でシリル基の活性化とそれに続くカップリング反応を行うことにより、(E)-3,6-ジアリール-1-シリルフルベンを(E)-1,3,6-トリアリールフルベンへと変換することができ、当初の目的である1,3,6-位に異なるアリール基を導入したフルベンの合成に成功した。
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