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2021 年度 実施状況報告書

含窒素反応活性種の精密制御を基盤とする合成手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K05507
研究機関東京工業大学

研究代表者

秦 猛志  東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (40419271)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード含窒素反応活性種 / 遷移金属触媒 / ニトロアレーン / グリニャール反応剤 / アジド / ヒュスゲン環化 / トリアゾール / 含窒素ヘテロ分子
研究実績の概要

本研究課題は,これまでの研究成果(Cu触媒 (J. Am. Chem. Soc. (2008年),Pd触媒 ((Org. Lett. (2011年), Angew. Chem. Int. Ed. (2012年), Heterocycles (2015年)), Rh触媒 ((Chem. Eur. J. (2014年),Chem. Eur. J. (2016年), Tetrahedron Lett. (2019年))および予備的知見をもとに,遷移金属触媒または有機金属反応剤と活性種前駆体から発生する含窒素反応活性種を利用して,効率的に含窒素化合物を合成する手法の開発することを全体の構想とし,鋭意検討した.特に令和3年度は,以下の2項目に関して研究を推進し,それぞれの項目で成果を得ることができた.1) ポリハロニトロアレーンとアリールグリニャール反応剤から多官能性アミノビアリールが位置選択的に合成できることを見出した.更に,得られた多官能性アミノビアリールに残存するハロゲン基を足がかりに,鈴木-宮浦クロスカップリング反応によるポリアリール化,続く酸化的環化反応により多環性ヘテロπ共役分子に誘導できることを見出した(日本化学会第102春季年会にて報告済み),2) 1-(ω-アジドアルキル)-2-(2,2-ジハロビニル)アレーンの分子内ヒュスゲン環化付加により,ハロ置換3環性トリアゾールが得られた。次に,残存するブロモ基を起点にした炭素鎖伸長および分子内環化反応により,トリアゾール環が融着した多環性化合物に誘導できた(日本化学会第102春季年会にて報告済み).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和3年度の具体的な研究の成果として,以下の結果が得られた.1) トリブロモニトロアレーンに対し,PhMgBrを作用させると,[5,5]-転位によりアミノ置換ビフェノールが得られた.続いて,残存するブロモ基を起点にしたアリールホウ酸との鈴木-宮浦クロスカップリング反応により,一挙にポリアリール化することができた.最終的には,FeCl3による酸化的環化により,6環性ヘテロπ共役分子が短工程で得られた.2) 1-(2-アジドエチル)-2-(2,2-ジブロモビニル)アレーンをDMF中で加熱還流すると、ブロモ置換3環性トリアゾールが収率良く得られた。なお,アジド置換のアルキル鎖の長さを変えると,5員環または7員環が融着した化合物も得ることができた.続いて,tert-ブチルアクリレートとの溝呂木-ヘック反応,脱保護,酸クロリドへ誘導した後,AlCl3を添加し分子内フリーデル・クラフツ反応により,トリアゾール環が融着した4環性化合物が得られた.更に,メチルエステルを有するフェニルボロン酸を用いると,5環性トリアゾールを得ることができた。

今後の研究の推進方策

研究最終年度の令和4年度は,本研究の更なる飛躍を目指して,含窒素反応活性種を利用した効率的な含窒素化合物の合成手法の開発および応用利用をより一層検討する.特に,一部予備的知見で見出している以下の知見を集中的に展開する.具体的には,1) Rh触媒とトリアゾールからのヘテロ環合成法(Chem. Eur. J. 2016年, Tetrahedron Lett. 2019年)の更なる展開を実施する. 2) 遷移金属触媒存在下でニトロ化合物とアルキルグリニャール反応剤または亜鉛反応剤からの含窒素ヘテロ分子合成へ展開する. 3) 令和3年度に見出した,ポリハロニトロアレーンとアリールグリニャール反応剤からの多環性ヘテロπ共役分子,トリアゾール環が融着した多環性化合物合成の更なる展開を実施する.

次年度使用額が生じた理由

理由としては,公益財団法人からの研究資金資金の獲得により、使用しない分が生じていたため.使用計画としては,研究加速のために,主に試薬品代や小型備品購入に使用する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] ポリハロ(アリール)アレーンをテンプレートとする縮環芳香族化合物の合成2022

    • 著者名/発表者名
      中村南美・秦 猛志・重田雅之・占部弘和
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会
  • [学会発表] 1-(ω-アジドアルキル)-2-(2,2-ジハロビニル)アレーンを用いる多環性トリアゾール誘導体の合成2022

    • 著者名/発表者名
      小林一貴・笠倉望路・秦 猛志・重田雅之・占部弘和
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会
  • [学会発表] 銅触媒アリール化によるテトラゾールの位置選択的な四級化反応とその利用2021

    • 著者名/発表者名
      富田大貴・伊藤 翔・重田雅之・秦 猛志・占部弘和
    • 学会等名
      日本化学会秋季事業第11回CSJ化学フェスタ

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公開日: 2022-12-28  

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