研究課題
研究期間3年間を通じて、多くの期間がコロナ禍にあり、研究推進が困難であったが、最後の1年間で遅れを大分戻すことができた。特に、本研究の中心の研究課題であった可視光で働く新規なレドックス有機光触媒の開発に成功した。申請者の特徴的な反応系である2分子光レドックス触媒系において、電子ドナー分子としてジベンゾ[g.p]クリセンを、電子アクセプター分子として、9-シアノ-10-メトキシカルボニルアントラセンを用いて、青色LEDにより405 nmの可視光照射することで、申請者が見出した光脱炭酸反応や光脱ボロン化反応が進行することを明らかにした。さらに、電子ドナー分子をフェナントレンから酸化電位の低いジベンゾ[g.p]クリセンに変えることで、塩基の効果や基質選択性が生じて、選択的な光脱炭酸や光脱ボロン化反応に成功した。また、これらの新規なレドックス光触媒を用いて、通常の条件下では困難な安息香酸やグルタミン酸・アスパラギン酸側鎖の光脱炭酸反応にも成功し、ユニークな生成物を合成することができた。これらの反応では、一般に用いられている1分子光レドックス触媒であるIr触媒や福住触媒で進行しないため、申請者が見出した反応系を利用する必要がある。これらに関連したオリジナルペーパーを4報報告し、さらに論文を提出中である。これらに加え、これら新規に開発したレドックス光触媒とミリチューブを利用して、反応効率の向上や太陽光の利用を検討した。現在の所、反応効率の向上は確認できた。
すべて 2022 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件)
J. Org. Chem.
巻: 87 ページ: 7405-7413
10.1021/acs.joc.2c00643
巻: 87 ページ: 11816-11825
10.1021/acs.joc.2c01606
Eur. J. Org. Chem.
巻: 1 ページ: e202201225
10.1002/ejoc.202201225
Synfacts
巻: 18 ページ: 1266
10.1055/s-0041-1738728
https://www.youtube.com/watch?v=zcYQAOj3kyQ