研究課題/領域番号 |
20K05511
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清川 謙介 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80632364)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | アミノ化 / 超原子価ヨウ素 / カルボニル化合物 |
研究実績の概要 |
申請者が独自に開発したイミニル部位を有する超原子価ヨウ素反応剤を活用することで、エステルやケトン、アミドなどの種々のカルボニル化合物のα位アミノ化を達成した。開発した手法は、有用な化合物群であるα-アミノカルボニル化合物の新たな合成法であり、合成化学だけでなく薬学分野にも応用が期待できる。 まずは、エステルを基質に用いたα位アミノ化をモデル反応として検討を開始した。予備的結果として、フェニル酢酸メチルとLDAから調製したリチウムエノラートに対してイミニル部位を有する超原子価ヨウ素反応剤を作用させることで目的の反応が低収率ながら進行する事が判っており、本反応系の条件を最適化するために、リチウム(LiHMDSやt-BuOLi)やナトリウム(NaHMDSやNaH)由来の塩基を検討したところ、LiHMDSを用いた場合に良好な収率で目的生成物が得られることが判った。また、マグネシウムや亜鉛の塩を添加することで種々の金属エノラートを発生させて検討したが、収率の向上は見られなかった。本課題に用いる超原子価ヨウ素反応剤は合成が容易であり、様々な置換基を有する誘導体が合成可能であるため、イミニル基の芳香族部位に電子供与性・求引性置換基を導入、またヨードアレーン骨格に置換基を導入することで、その立体的・電気的性質を変化させ、反応性や溶解性をチューニングすることが可能であると考え、実際に検討したところ、導入した置換基の種類によって生成物の収率が変化することが判った。さらに、反応パラメータ(溶媒、温度)の徹底的な精査により、THF溶媒中、低温下でLiHMDSを用いる条件が最適であると判った。本アミノ化を種々のカルボニル化合物を用いて検討した結果、ケトンやアミドに対しても適用可能であることが判った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備的結果として、フェニル酢酸メチルとLDAから調製したリチウムエノラートに対してイミニル部位を有する超原子価ヨウ素反応剤を作用させることで目的の反応が低収率ながら進行する事が判っており、本反応系の条件を最適化するために、リチウム(LiHMDSやt-BuOLi)やナトリウム(NaHMDSやNaH)由来の塩基を検討したところ、LiHMDSを用いた場合に良好な収率で目的生成物が得られることが判った。本課題に用いる超原子価ヨウ素反応剤は合成が容易であり、様々な置換基を有する誘導体が合成可能であるため、イミニル基の芳香族部位に電子供与性・求引性置換基を導入、またヨードアレーン骨格に置換基を導入することで、その立体的・電気的性質を変化させ、反応性や溶解性をチューニングすることが可能であると考え、実際に検討したところ、導入した置換基の種類によって生成物の収率が変化することが判った。さらに、反応パラメータ(溶媒、温度)の徹底的な精査により、THF溶媒中、低温下でLiHMDSを用いる条件が最適であると判った。本アミノ化を種々のカルボニル化合物を用いて検討した結果、ケトンやアミドに対しても適用可能であることが判った。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度得られた結果をもとに、オキサゾリジノン不斉補助基を有する基質を利用して立体選択的なアミノ化を検討する。また、種々の不斉補助基を検討し立体選択性を検証する。さらに、不斉金属錯体を利用する触媒的不斉アミノ化の開発にも取り組む。触媒は銅やマグネシウム錯体を中心に検討する。生成物は光学活性なα-アミノ酸(誘導体)や1,2-アミノアルコールへ変換する。立体選択的反応の開発には反応機構の理解が必須であると考えており、実験的および計算化学的手法を駆使して機構を推定し、その知見を実験にフィードバックする
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、参加予定であった学会等が中止およびオンライン開催となったため、旅費として計上していた予算を使用しなかった。また、所属機関の方針による設備の使用制限のため研究の遂行にやや影響があり、物品費においても残額が生じた。 新型コロナウイルス感染症の影響は直ちには改善しないと思われるため、次年度使用額は主に物品費として割り当てる予定である。
|