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2021 年度 実施状況報告書

ハロゲン化物塩を触媒とする酸化的有機変換反応の開発と酸素酸化への展開

研究課題

研究課題/領域番号 20K05513
研究機関高知大学

研究代表者

永野 高志  高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (80500587)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードハロゲン / 酸化反応 / 酸化カップリング
研究実績の概要

本研究の目的は,ハロゲンの酸化還元特性を利用した新たな触媒的酸化反応や酸化カップリング反応を開発することである.また,酸化剤として酸素を使用する触媒系を確立することも大きな目標である.今年度の成果の概要は以下である.
(1)これまでにヨウ素を触媒とするアルデヒドとアルコールの酸化的カップリング反応を見出しており,1-プロパノールやメタノールを用いてアルデヒドから対応するエステルを高収率で得ることに成功している.今年度は,これまでに検討していなかったt-ブチルエステル合成を試みた.1-ナフトアルデヒドをモデル基質とし,種々の条件検討を行った結果,t-ブチルエステルが60%程度の収率で得られる条件を見出した.
(2)上記の酸化的エステル化の応用として,アルコールの代わりにアミンを用いる酸化的アミド化反応に挑戦した.2-ナフトアルデヒドとピロリジンを,我々の触媒系を用いて反応させると対応するアミドが30%程度の収率で得られることを新たに見出した.こちらは収率が低いためさらなる検討が必要である.
(3)昨年,ヨウ素触媒を用いて1,2-ベンゼンジメタノールからフタリドへの分子内酸化カップリング反応が高収率で進行することを報告したが,今年度は他の非対称ジオールについても検討を行った.炭素鎖が一つ長い基質や,ベンジル位の片方に種々の置換基を導入した非対称ジオール基質を新たに合成し,これらの基質からも対応するラクトンが中程度~高収率で得られることを見出した.
(4)酸素を酸化剤して用いることができる新たな酸化カップリング反応を探索した結果,3-(2-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルプロパン-1-オンをモデル基質として,テトラブチルアンモニウムヨージド触媒存在下,酢酸/酢酸ブチル混合溶媒中,酸素雰囲気下で反応させると60%程度の収率で対応する分子内酸化的エーテル化生成物が得られることを見出した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度に引き続き,今年度も新型コロナウイルスによる学生のキャンパス入構禁止が断続的に行われ,研究協力者である学生たちの研究遂行にも大きく影響した.様々な制約のある中で前述したような新しい知見が少しずつ得られてきてはいるものの,炭素―炭素結合形成型酸化カップリングの開発が進んでいないため進捗状況は「やや遅れている」とした.

今後の研究の推進方策

これまでに得られた知見を基に,今後は以下の点について重点的に検討を行っていく.
(1)アルデヒドの酸化的エステル化がヨウ素触媒によって上手く進行し,アルコールとして第一級から第三級アルコールまで使用可能であることがこれまでに明らかになっているので,今後順次,アルデヒド側の基質適用範囲の詳細や,官能基耐性の詳細を明らかにしていく.
(2)ジオールからラクトンへの酸化的変換について基質適用範囲の調査を継続する.また,この酸化的ラクトン化反応を分子間反応へと拡張すれば,2種類のアルコールからの直接的なエステル合成が可能であると思われるので検討を進めたい.
(3)酸素を酸化剤とする酸化的エーテル化反応について,さらなる反応条件改善と基質適用範囲の調査を行う.酸化的エーテル化以外にも,δ-ケト酸のオキシラクトン化が酸素雰囲気下で進行することもすでに見出しているので完成を急ぎたい.
(4)炭素―炭素結合形成型の脱水素カップリング反応について,モデル基質の合成や初期検討などの基礎的データの収集を行う.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,研究協力者である学生たちのキャンパス入構禁止が断続的に行われ,研究が当初予定通りに進行していないため次年度使用が生じた.これらについては,研究の遅れを取り戻すために,次年度予算と合わせて消耗品購入やNMR測定費用等に充てる.

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公開日: 2022-12-28  

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