研究課題/領域番号 |
20K05518
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小川 熟人 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (50611109)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ラクトマイシン / 網羅的合成 / 不斉合成 |
研究実績の概要 |
ラクトマイシン類はStreptomyces sp. ACT232から単離された新規ポリケチド天然物である。ラクトマイシン類は強力なカテプシンB阻害活性をもち,新規な作用機序による抗がん剤のリード化合物として期待される。本研究では,ラクトマイシン類について,構造活性相関研究を志向した合成法を確立し,ラクトマイシン類やその誘導体・類縁体の合成を行う。 2020年度はラクトマイシン類のC8位,C9位,およびC11位に相当する不斉中心の構築を行った。すなわち,1,4-ブタンジオールを出発物質として,ヒドロキシ基の保護・脱保護およびKnoevenagel縮合などを経て,4工程でβ,γ-不飽和エステルを合成した。この二重結合に対してAD-mix-βを反応させることでC9位に相当する不斉中心を構築した。得られた光学活性ジオールは直ちに環化してラクトンを形成した。C9位に相当するヒドロキシ基を保護した後,ラクトンをリチウムボロヒドリドで還元してジオールを合成した。内部のヒドロキシ基を酸化してケトンとした後,ビニルグリニヤール試薬を反応させてC8位に相当するの不斉中心を構築した。一方,末端のヒドロキシ基はアルデヒドへ酸化した後,トリメチルシリルアセチレンを付加してC11位に相当する不斉中心を構築した。しかし,この反応における立体選択性が中程度であった。今後は,異なる合成手法によりC11位にあたる不斉中心を構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で2020年7月まで研究活動を開始できなかった。その後,研究活動に制限があるなかで,計画に従い研究を推進してきた。当初の計画より遅れているものの,ラクトマイシンのもつ3つの不斉中心を構築できた。次年度も計画に従い合成を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,2021年度はC11位の不斉中心を不斉水素移動反応により構築する。その後,C1からC7位に相当するラクトンの合成を行い,合成した2つの中間体をカップリング反応により連結してC1位からC13位骨格を構築する。また,より簡便,かつ立体選択的に合成する方法も探索している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で2020年7月まで研究を実施できなかった。その後,研究を再開したが当初の計画よりも研究が進まなかったためである。2021年度は計画通り予算を使用する見込みである。
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