研究実績の概要 |
芳香族化合物のアミノ化反応は、芳香族アミン類のユニークな生理活性や有用性により、有機合成化学の重要な反応として広く研究されている。既存の芳香族アミンの合成法としては、銅触媒を用いたUllmanカップリングや、パラジウム触媒を用いたBuchwald-Hartwigアミノ化反応が知られている。しかしこれらの手法では、反応基質にハロゲン化アリールを合成する必要があり、反応工程数の増加や反応終了後の廃棄物の問題を有している。官能基化を必要としない酸化的手法を用いたC-H、N-Hのカップリングによるアミノ化反応も数例報告されているが、芳香族化合物は反応性の低い二重結合を持つため溶媒量程度の大過剰量の基質を用いる必要がある。そのため,現在でも新しい官能基の導入を必要としない直接的な芳香族アミノ化反応の開発が求められている。最近、C-N結合形成反応としてフェノチアジン類とのカップリング反応に成功している(Org. Lett., 2022, 24, 6088.)。本年度はヘテロ芳香族化合物と超原子価ヨウ素反応剤から生成する反応中間体、並びにフェノール類の酸素原子とアニリン類の窒素原子の活性化を起点とした、クロスカップリング反応におけるアミノ化反応を達成するため検討した。現在論文執筆中である。
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