研究課題
当該年度は、引き続き材料としての応用を指向し、実用化に向けた取り組みを行った。基本骨格として、 環状ヤヌスシロキサン、ラダーシロキサン、 ダブルデッカーシロキサン(DDSQ)に、反応性置換基として、ビニル基やアリル基などを導入し、さらに官能基変換で、チオール(SH)、アジド基(N3)、シリ ル基(SiR3)を導入した化合物を合成した。本年度は特に、アルコキシ基を末端に有する次世代シランカップリング剤の合成に注力し、多くの新規化合物を合成した。得られた化合物は、共同研究を行っている企業(本年度は4社)を通じ、様々な材料 への展開を検討し、実用化に結びつける試みが進行している。いずれの化合物も、シロキサン骨格のハイブリッド性を反映し、合成後は濃縮、溶媒洗浄のみで純粋な目的物を得ることが可能で、実用化においても大変有望である。研究機関全体を通じ、以下のような新しい成果を得た。これは申請時に上げた内容と比較しても更に多くの化合物合成、新規応用の可能性を含む結果を含んでおり、当初予定を超えた成果であると自認している。(1)ヤヌス環状、カゴ型、ラダーシロキサン、ダブルデッカシロキサンの、これまでモノマーとして使用されることがなかった新規シルセスキオキサン骨格を合成し、様々な反応性置換基を有する化合物を合成することができた。その中で、硫黄を含む化合物については、高屈折率材料、エコタイヤのカップリング剤などへの応用を検討している。(2)新規シランカップリング剤の合成:これまでは無機物質と有機ポリマーを混合する際、直鎖のトリアルコキシシランがシランカップリング剤として用いられてきたが、次世代通信材料(G5、G6)において必要とされる物性を達成することが困難になった。そこで、上記(1)に示した骨格に複数のトリアルコキシシリル部位を導入した新規シランカップリング剤を合成した。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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