研究実績の概要 |
本年度は、新規Co(III)錯体ならびに、新たな蛍光部位を持つCo(III)錯体の合成を行った。従来合成していた4,4'-dimethylbipyridine配位子を持つ炭酸Co(III)錯体のほかに、5,5'-dimethylbipyridine配位子を持つ炭酸Co(III)錯体の合成を行い、キャラクタリゼーションを行った。二つのCo(III)錯体の電気化学的性質はよく似ており、2つのCo(III)錯体は、水溶液中で-0.15V付近にCo(III)/Co(II)に由来する非可逆な還元ピークが観測された。またこの2つのCo(III)錯体と還元剤であるアスコルビン酸との反応を検討したところ、ほぼ同じ速度でCo(III)錯体が還元されることが判明した。このアスコルビン酸との反応はビピリジン配位子を持つCo(III)錯体とほぼ同じ速さであることから、これらのメチル基を持つCo(III)錯体も抗がん活性をもつことが期待された。この2つの錯体を、がん細胞であるA549細胞に対する大気下での細胞毒性評価を行ったところ、4,4'-dimethylbipyridine配位子を持つCo(III)錯体でIC50値が16マイクロM,4,4'-dimethylbipyridine配位子を持つCo(III)錯体でIC50値が22マイクロMであり、従来合成したビピリジン配位子を持つCo(III)錯体よりも大気下で高い抗がん活性をもつことが判明した。 またメチルクマリンを出発物質として、3段階でチオセミカルバジド部位を持つクマリン配位子の合成を行った。この配位子を原料のCo(III)錯体とはんのうさせて、新規蛍光性配位子を持つCo(III)錯体の合成した。
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