本研究では、C5Me4SiMe3基を配位子とする多核クロムヒドリド錯体の合成と、窒素分子の活性化、および含窒素有機物の合成研究を中心に取り組んだ。三核クロムヒドリド錯体とN2の反応で得られた三核ジイミド錯体は水素と反応し、アミド種(-NH2)、アンモニアの発生を経て三核モノイミドヒドリド錯体および五核クロムイミドヒドリド錯体へと変換された。また、クロムヒドリド錯体と様々な不飽和炭化水素との反応を検討し、アルキンのカップリング反応を見いだしたが、N2との反応は見られなかった。一方、以前報告した三核チタンヒドリド錯体を用いて、アルケンと窒素分子の反応からアルキルアミンが得られることを見いだした。
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