研究実績の概要 |
申請者はこれまで非対称型の第4世代フェニルアゾメチンデンドリマー(pyDPAG4)を用いることでAl13およびGa13超原子の液相での合成と超原子としての特性解明を報告している(Nature Commun. 2017, Adv. Mater. 2020,他)。本研究ではこれを発展させるため・全比率領域を可能にする元素配合法 および・一原子置換集積法 を開発した。 全比率での元素配合は超原子として報告しているGa13クラスターへのPtドープに対して行った。GaCl3とPtBr4との配合集積をこれまで通りの集積条件で行った場合、高い配位力を有するGaCl3がデンドリマーの内層に集積される。そのため、指数関数的に分岐したデンドリマー側鎖の構造を考えると、外側に集積されるPtの数が指数関数的に多くなることが避けられない課題であった。それに対してTHFを用いたCHCl3:CH3CN:THF = 1:1:0.25の混合溶媒中では、PtBr4の配位力が選択的に向上するため、PtBr4がGaCl3よりも内側に集積できることを見出した。これはGaとPtとを様々な配合比で精密集積できる手法であり、Ga13超原子への元素ドープを可能にした(Chem. Lett. 2021, Selected paper, Cover article)。 14族元素を利用した新超原子として、1元素ドープ型超原子を合成した。これはピリジン部位をコアに持つデンドリマーを用いて行った。このデンドリマーでは最内層に導入したピリジン部位が最初に金属を1原子だけ集積できるため、これによりFe1原子とSn12原子からなるFe1Sn12超原子を合成した。そして、このクラスターが常磁性的挙動および近赤外領域での発光機能を示すことを見出した。
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