研究課題
元素を代替でき、新しい周期律を生み出せる手法として「超原子」の利用がある。超原子は数原子からなる金属クラスターが原子のような電子軌道を有するものであり、原子の特性を模倣できる新材料になることが期待されてきた。しかしながら数原子から構成される超原子を合成することは困難であり、その合成手法の開発と機能開拓は強く期待されている。本研究では、超原子を液相で合成できる手法を開発し、その機能の開拓を進めることを目標としている。特に14族および15族の典型金属元素を利用した超原子合成の研究を進めることで量子物性に基づく機能の開拓を目指して研究を展開した。特に、これまでの研究においてアルミニウムを構成元素とする超原子の合成を達成している。この手法を基に1)超原子における構成元素の変更 2)異種金属元素の配合 3)新規クラスターの機能開拓を行った。構成元素の変更では、ガリウムによるハロゲンを模倣できる超原子の合成に成功し、その電子物性と安定性の評価を実証した。異種金属元素の配合ではガリウムと白金による広い配合比率での精密集積を達成し、そのクラスター合成を見出した。その結果ガリウム原子は白金クラスターの内部を移動する一方で白金原子はガリウムクラスターの内部に入り込まずに周辺部を移動することを見出した。これはガリウムなどの典型金属元素の結合が遷移金属の結合より強固であることを示唆している。また、鉄とスズとの配合集積も見出し、鉄1原子とスズ12原子からなる14族元素を用いたクラスター合成を達成した。15族元素であるビスマスを利用した金属集積を利用し、超原子合成のためのクラスター化を検討した。有機ポリマー保護によりクラスターの安定性が向上できることを見出し、集積ビスマス塩の酸化還元挙動も実証した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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http://www.res.titech.ac.jp/~inorg/achievement/
https://orcid.org/0000-0002-9216-2693