アルカリ金属イオンなどカチオンへの配位可能なサイトを含む配位子を用いて3回対称性のランタノイド錯体を合成し、その遅い磁化緩和について実験と理論計算の両面より詳細な機構解明を行った。Gd(III)錯体のように磁気異方性を示さないランタノイド錯体においても40Kという高い温度まで遅い磁化緩和を観測することに成功し、その緩和機構としてラマン過程の重要性を見出した。遅い磁化緩和において結晶中における低エネルギー振動の重要性を明らかにするとともに、アルカリ金属イオンの交換に伴って形成される2次元、3次元ネットワーク構造の違い、あるいは結晶の硬さによって磁化の緩和速度が大きく変化することを見出した。
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