円偏光発光は、近年報告が非常な勢いで増加している。特に有機物においては以前では考えられなかったほどの大きな円偏光性を示す化合物の報告が次々となされているが、遷移金属錯体ではまだ報告例は少ない。また、円偏光発光によって、励起状態の構造の情報が得られることはきわめて重要な学術的な意義を持つと私は考えるが、そのような観点での報告は有機物も含めて少ないことが現状である。そのような中で、本研究によって遷移金属錯体の円偏光がどのような場合に強くなるのかを示しすことができた。また、励起状態でエキシマーを作ることでキラリティが増加することが示された。錯体でこのようなことが示された意義も大きいと考える。
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