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2020 年度 実施状況報告書

スピンフラストレーションを内在するクラスターヘリケートを用いた新規物性探索

研究課題

研究課題/領域番号 20K05546
研究機関福岡大学

研究代表者

川田 知  福岡大学, 理学部, 教授 (10211864)

研究分担者 石川 立太  福岡大学, 理学部, 助教 (00736556)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードフラストレーション / 異核錯体 / クラスター
研究実績の概要

申請者は、ピラゾール誘導体配位子が螺旋状に配置し、鉄イオンが内包された螺旋状鉄五核クラスター錯体が、光合成系IIの活性中心Mn4CaO5クラスターを大きく上回る触媒活性を示すことを明らかにしている。この五核クラスターヘリケート錯体は、用いる金属イオンに応じて、興味深い酸化還元挙動や特異的なスピンフラストレーションを引き起こす。そこで本研究では、螺旋状五核クラスター錯体のさらなる物性の向上、制御を目指し、多様な電子状態の構築を可能とする異核螺旋状五核クラスター錯体の合成法の確立を目的とした。その目的のため、構成金属イオンとして多彩なスピン状態と酸化還元能をもつ置換活性な二価金属イオンを用い、それらの配置の多様性から生まれる様々なクラスターを合成し、電子状態の多様性を明らかにするとともに、スピンフラストレーションの発現機構に対する考察を行った。置換活性な二価金属イオンを用いた段階的な精密合成法の確立は困難なため、異核螺旋状五核クラスター錯体の合目的な自己集積的合成法の確立と電子状態制御も同時に検討した。単結晶 X 線構造解析の結果、得られた異核クラスターはこれまでに報告されている五核クラスターヘリケートと同様の構造をしており、その結合距離により金属イオンの配置を予測することができた。Cu 五核錯体ではアピカル位にヤーン・テラーの歪みが観測され、いずれの錯体においてもアピカル位には亜鉛イオンが存在することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

構成金属イオンとして多彩なスピン状態と酸化還元能をもつ置換活性な二価金属イオンを用い、それらの配置の多様性から生まれる5核クラスターの合成に成功し、単結晶 X 線構造解析から五核構造の確認と結合距離により金属イオンの配置を予測することができた。特に、Cu 五核錯体ではアピカル位にヤーン・テラーの歪みが観測され、いずれの錯体においてもアピカル位には亜鉛イオンが存在することが示唆された。以上のように、新規フラストレーション系の構築の足掛かりとなる5核異核クラスターの合成に成功しているため、研究はおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

本年度は、昨年度得られた5核異核クラスターのメスバウアー 測定、電子スピン共鳴、磁化率測定、比熱測定を行い、フラストレーション発現機構を明らかにしていく。さらに、理論計算と比較することにより、フラストレーション発現に関する理論的考察を行い、新規フラストレーション系創出の足がかりとなる理論的バックグラウンドを得る。また、新たなフラストレーションを有するヘリケート系の構築のため、異なる核数と異なる金属からなる新規クラスターヘリケートとの合成を試みる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Metal(II) Ion Dependence on the Structures and Properties of Square-Grid Coordination Polymers of Tetrabromobenzenedicarboxylate and Pyrazine as Bridging Ligands2021

    • 著者名/発表者名
      H. Kumagai, S. Kawata, Y. Sakamoto, and N. Setoyama
    • 雑誌名

      Bull. Chem. Soc. Jpn.

      巻: 94 ページ: 1571-1578

    • DOI

      10.1246/bcsj.20210042

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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