研究課題
最終年度において、光酸化分解性脂質を導入したリポソームの作製と顕微鏡下でのリポソーム単粒子の光崩壊過程の観測・計測を実施した。集光レーザー型光ピンセット顕微蛍光分光装置に紫外線ランプを導入した光学系を構築した。粒径および化学組成に対する分解速度の依存性を検討すべく、DPPC/DOPC/CholやPOPCなどの脂質やモル比の異なるリポソームを作製した。緩衝溶液中に分散させたリポソーム単粒子を集光レーザー光ピンセットにより光捕捉することに成功した。光捕捉している中で、紫外線を照射するとリポソームの粒径が徐々に減少した。これは、リポソーム内のケージド化合物の光酸化分解反応の進行により、リポソームが崩壊したことを反映している。リポソーム内部には蛍光色素を導入しており、紫外線照射に伴う蛍光強度の経時変化よりリポソームの分解速度を単粒子レベルで分析する手法を確立できる。さらに、本研究では既存の集光レーザー型光ピンセット顕微分光装置に加え、昨年度に続きチタンナノ構造を用いた光ピンセット法の開発も進展させた。化学的酸化処理により得られたチタンナノ構造体は、表面に水素化チタンが形成されており、従来のブラックチタンとは異なるナノ構造体を得ることが出来た。この構造体を用いた高分子微粒子の光捕捉に成功した。本手法の機能と特徴を明らかにすることで、光分解性リポソームの安定的な光捕捉と崩壊過程の追跡にも利用可能であることを明らかにした。
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ACS Omega
巻: 7 ページ: 13120-13127
10.1021/acsomega.2c00553
https://tshoji.com/