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2021 年度 実施状況報告書

イオン対金属錯体を蛍光プローブとする超分子型アニオン定量法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K05565
研究機関大阪教育大学

研究代表者

久保埜 公二  大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00269531)

研究分担者 横井 邦彦  大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (30144554)
谷 敬太  大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60207165)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード蛍光プローブ / アニオン定量 / 環境分析 / 金属錯体 / 超分子相互作用
研究実績の概要

本研究は,リン酸イオン・二リン酸イオンなどのアニオンを高選択的に捕捉し,水溶液中で強い蛍光を示すカチオン性金属錯体の創製と,この錯体のイオン対結晶を蛍光プローブとする超分子型アニオン定量法の構築を行うものである。令和3年度は,新規蛍光性配位子,並びに蛍光プローブとなるイオン対金属錯体の合成と結晶化,ならびにその物性評価を行った。蛍光性配位子としては,キノリノール誘導体,カルバゾール誘導体の合成を行い,それぞれ新規化合物が得られた。さらに,これらを配位子とする亜鉛(II)イオン並びにインジウム(III)イオンとの錯体合成と単結晶化をそれぞれ試みた。このうち,キノリノール誘導体については,キノリノールにジピコリルアミンを導入した配位子において,硝酸亜鉛 (II)および硝酸インジウム(III)とのイオン対錯体がそれぞれ単結晶として得られ,X線構造解析から組成を決定することができた。さらに,スルホ基を有するキノリノール系配位子のナトリウム塩の結晶化に成功し,この水溶性化合物についてもX線構造解析から組成を決定することができた。得られたイオン対錯体結晶を水系溶媒に溶解した溶液において,吸収スペクトル並びに蛍光スペクトル測定を行い,蛍光プローブとしての安定性に関する評価とアニオン添加実験を行った。その結果,令和3年度に得られたキノリノール系の硝酸インジウム(III)とのイオン対錯体は,水溶液中でも比較的安定で,且つ令和2年度に得られたプローブ錯体よりも蛍光強度が高いことが示された。このプローブ錯体は二リン酸イオンに対して選択的に消光し,滴定実験の結果から水/メタノール溶液中では二リン酸イオンが配位した三元錯体を形成している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに蛍光性化合物(キノリノール誘導体,カルバゾール誘導体)を合成し,これらの化合物のX線構造解析を行うことでそれぞれの分子構造に関する有用な知見が得られた。このうち,キノリノール誘導体については,目的である水溶性の高いイオン対錯体結晶が得られ,さらにその錯体の分子構造についても有用な知見が得られた。これらの錯体のうち,錯体結晶を用いることで溶液内錯形成による溶液よりも高い蛍光強度を示す場合があることを確認している。このイオン対錯体を蛍光プローブとする溶液に二リン酸イオンを添加すると高感度で且つ選択的に消光応答することが確認された。よって,おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

計画に従い,令和3年度において良好な結果が得られたイオン対金属錯体結晶を蛍光プローブとして用いて,溶液内において各種アニオンとの超分子錯体の生成確認を行い,アニオン添加によってスペクトル変化が見られた系については,連続変化法やアニオン滴定を行うことで超分子錯体の組成比や安定度定数を決定し,その超分子構造について考察するとともに妨害イオンの検討も行うことでアニオンプローブとしての評価を行う。さらに,得られた結果をイオン対金属錯体の設計にフィードバックすることで,より高性能な超分子型のアニオン蛍光プローブの設計を行う。

次年度使用額が生じた理由

理由 物品費の購入を次年度にしたことと,合成用試薬やスペクトル測定用溶媒などの消耗品費の使用が少なかったことに加えて,学会がオンライン開催となったことに伴い,旅費が発生しなかったためである。
使用計画  予定に加えて,合成用試薬,スペクトル測定用溶媒やセルなどの物品費,データ整理に対する謝金などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Crystal structure of (7-{[bis(pyridin-2-ylmethyl)amino-κ3N,N',N'']methyl}-5-chloroquinolin-8-ol)dibromidozinc(II)2022

    • 著者名/発表者名
      Koji Kubono, Yukiyasu Kashiwagi, Keita Tani and Kunihiko Yokoi
    • 雑誌名

      Acta Crystallographica

      巻: E78 ページ: 326-329

    • DOI

      10.1107/S2056989022001530

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] インジウム(III)二核錯体型蛍光プローブにおけるアニオン応答2022

    • 著者名/発表者名
      田中 奏多,久保埜 公二,柏木 行康,谷 敬太,横井 邦彦
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会 (2022)
  • [学会発表] イオン対錯体型蛍光アニオンプローブの結晶化と高感度化2021

    • 著者名/発表者名
      久保埜 公二,杉山 拓弥,田中 奏多,柏木 行康,谷 敬太,横井 邦彦
    • 学会等名
      日本分析化学会第70年会

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公開日: 2022-12-28  

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