研究課題/領域番号 |
20K05568
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高柳 俊夫 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (50263554)
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研究分担者 |
水口 仁志 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (30333991)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | キャピラリー電気泳動 / ダイナミックフロンタルアナリシス / シミュレーション / アルカリフォスファターゼ / フロンタルアナリシス / 金ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,キャピラリー電気泳動法(CE)における分離分析の特長を速度論反応の解析に用いる新奇な解析手法である「キャピラリー電気泳動/ダイナミックフロンタルアナリシス法(CE/DFA)」の開発を継続した。本年度は特に,分離キャピラリー内での速度論反応をシミュレーションにより再現する研究を進めた。シミュレーションには行列処理を得意とするMATLABを用い,キャピラリーの長さ方向を行数,反応成分数を列数とする行列を設定した。異なる電気泳動移動度を有する基質と生成物としてニトロフェニルリン酸とニトロフェノールを用い,ミカエリスメンテン定数と酵素のユニット数により生成物の生成速度およびCE分離をシミュレートした。その結果,キャピラリー内での酵素反応に基づくプラトーシグナルの生成を再現することができた。酵素濃度の変化,基質濃度の変化に伴うプラトーシグナルの形状変化に関して有益な知見を得た。 また,シミュレーション研究として,薬物-タンパク質間の平衡論的な結合定数を調べるキャピラリー電気移動/前端分析(CE/FA)にも着手した。一般的にCE/FAではタンパク質結合薬物(B)と遊離薬物(F)のB/F分離によりプラトーシグナルが得られ,結合定数を決定することができる。タンパク質結合薬物が遊離薬物と電気泳動分離されると,薬物-タンパク質の複合体は解離方向に進行し,エレクトロフェログラム上では解離反応速度を反映した結果が得られる。このシミュレーション研究は現在進行中である。 このほかにも,電荷や形状に分布を有する金ナノ粒子,白金ナノ粒子などについて電気泳動分離を行い,溶液内での安定性,高塩濃度下でのナノ粒子の分散性に関する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の研究において計画書に記載した研究計画はほとんど達成できていることを前年度の実施状況報告書で報告した。第2年度である本年度はCE/DFAの主な対象となる酵素反応に関して,新たにシミュレーション研究に着手することができた。酵素反応に基づくCE/DFAを計算機シミュレーションでも再現でき,シミュレーションの手法はこれから拡がりが期待できることが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのCE/DFAの開発において,酵素反応を対象とした研究は順調に進展しており,様々な酵素反応系に適用可能であることを示してきた。CE/DFAでは一定の反応速度を有する酵素反応に基づいてプラトーシグナルが得られることが特徴であるが,平坦かつ十分な高さのプラトーシグナルを得る各種パラメーターが整理できていない。ターンオーバー数やミカエリスメンテン定数など酵素反応に関することや,基質溶液の注入時間や印加電圧等の実験条件に関することを整理し,CE/DFAの適用範囲を明らかにする。パラメーターの整理では,シミュレーションの手法と併せて検討を進める。加えて,適用可能な酵素反応系の探索を継続して進める。 また,均一系触媒については,CE/DFAに適合するモデル反応が見つからなかったため,継続して探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
薬品等の消耗品を十分使用できた一方,測定機器が古いためにメーカー側の保守期限が切れてしまい装置に関する予算使用が生じなかった。また,コロナ禍で海外を含む出張旅費をほとんど使わなかったため,次年度使用額が生じた。繰越金は,今年度用いる各種酵素,研究発表のための論文掲載費や旅費,シミュレーション研究のソフトウェアの購入に用いる予定である。
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