研究課題/領域番号 |
20K05573
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
谷田 肇 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 技術副主幹 (70301760)
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研究分担者 |
今井 洋輔 九州大学, 基幹教育院, 助教 (90738816)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 気液界面 / 水和構造 / 界面活性剤 / 電子取量 / XAFS |
研究実績の概要 |
KやCaの界面における水和構造を全反射型全電子収量法による気水界面X線吸収分光法(X線吸収微細構造 X-ray bsorption Fine Structure:XAFS)で解明するテーマについては、従来のセルの改良を進め、測定出来る目処を立てた。 また、Kよりも軽元素に適用する直入射型全電子流量法による気水界面XAFS法については、セルを開発し、KEK PF 27B、SPring-8 BL27SU、立命館大学SRセンター BL13に持ち込んで、NaCl水溶液のCl K吸収端、Na K吸収端、リン撒水溶液のP K吸収端の測定をそれぞれ試みたが、界面のみのスペクトルを選択的に測定することは出来なかった。 KEK PF 27Bではビームサイズがセンチメートルオーダーと大きく、確実に界面にX線が照射されているが、ビーム強度が弱く、信号を得ることが出来なかったと考えられる、一方、SPring-8 BL27SUではビームサイズが数十マイクロメートルオーダーと小さく、界面に確実に当たっていることを確認することが難しかった。また、Na K端では窓材の吸収が大きく、結果的に十分な強度のX線を照射できなかったと考えられる。立命館大学SRセンターでは数miriオーダーのビームサイズと、P K端でX線の透過力が十分にあり、測定の可能性が高かったが、セルの窓材によって、界面のメニスカスができなかったか、バイアス電圧などを最適化できなかったと考えている。 今後、光軸上に長焦点顕微鏡を設置して、ビーム照射位置を確実に確認できるシステムを開発し、窓材やバイアス電圧の最適化を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全反射型全電子収量法による気水界面XAFSについては、KEK PF BL7Cで行っていたが、セル改良後の試料の準備等が間に合わず、ビームタイムの申請が間に合わなかった。 また、直入射型全電子流量法による気水界面XAFS法については、セル開発後、いくつかの施設、ビームラインに持ち込んだが、以前に実施したテスト測定と異なる施設や更新された施設での実施となり、以前のテスト測定条件をうまく再現することができなかった。これらのことから、当初計画どおりに研究計画を進めることができなかったため、遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
全反射型全電子収量法による気水界面XAFSについては、KEK PF BL7Cで、ビームタイムを申請中である。 直入射型全電子流量法による気水界面XAFS法については、光軸上に長焦点顕微鏡を設置して、ビーム照射位置を確実に確認できるシステムを開発し、窓材やバイアス電圧の最適化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けて、実験を予定していた放射光施設が一時期閉鎖となったため、当初計画どおりに実験を行うことができず、当初想定していた旅費や施設利用料の支出が少なくなったことにより、次年度使用額が生じた。令和2年度に試料や装置の準備は十分に整えることができたので、次年度使用額は、令和3年度分経費と合わせて、実験に係る費用として使用する。
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