研究実績の概要 |
① 前年度に引き続き、Hiltらの論文(Org. Lett, 2020, 22, 5968.)に基づき、エノールシリルエーテルを陽極酸化の基質として用いて、モノヨウ素化の条件検討を行った。陽極室に、LiClO4/CH3CN, NaIを溶解させて電解酸化を行うと、安定して60~70%(NMR収率)台にてモノヨウ素化体が得られる条件を確立した。またこのような検討を受け、両極合成として、陰極にチオフェノールを用いて電解合成と溶液移動を行うと、対応する硫黄置換体生成物が20%台の収率で得られることを見出した。現在、条件検討を行い、収率の向上の条件を探索している。 ② 前年度に展開を開始したイミニウムカチオンとアリルシランのin-situ合成と溶液移動による炭素-炭素結合形成は順調に進展しており、条件検討や基質(陰極)の適用範囲などの把握を行い、うまく進展している。 モデル反応では、目的生成物は60%収率(単離)で得られている。 ③ また、含イオウ化合物として、低温陽極酸化による硫黄で安定化された炭素カチオンの発生とこれを利用した両極合成についても、先行研究の論文:吉田、清水ら、Bull. Chem. Soc. Jpn. 2016, 89, 61.を参考にして、令和3年度より検討を開始している。 ④ その他、電解還元によるシクロプロパン化反応なども見出し、条件検討や適用範囲の精力的な調査を行い、その確立に成功した。 令和3年度は主に研究補助者2名とともにテーマを推進した。
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