研究実績の概要 |
新たな窒素固定反応ではこれまで開発してきた高性能な触媒を使用し、担持Ru触媒を使用した。調製した触媒はX線回折(XRD)・蛍光X線(XRF)測定で結晶構造・組成比を確認後、N2吸着法によって比表面積を調べた。窒素固定反応によって変化する温度を熱力学計算を実施した。窒素固定反応は流通反応装置を用いて昇温法で調査した。吸着する窒素の三重結合は幾何学的に活性化(切断)されると考えられ、有価物合成が期待できる。窒素活性化が難しい場合は、電気化学や電場印加反応への応用を検討した。最終目的の『有価物合成』が達成できなくとも、その過程で『NH3等が合成』できれば、それだけでもインパクトの高い『新たな窒素循環技術』になる。 加えて、特殊フロー触媒反応場の流路方向の局所構造と反応機構を明らかにする『新規その場(Operando)解析技術』を開発を検討した。本研究のような一段階のフロー反応でも、反応は中間体を含めると多段階反応機構で進行していると予想され(例: N2→NHx→NHx-yRy...)、それは触媒層の流路方向の空間で逐次的に進んでいると推察される(例: 反応管内部 A→B→C...)。実際に、NH3によるNOx還元反応の出入口で異なる触媒作用が報告されており[J. Phys. Chem. C, 118, 10204, 2014.等]、世界中で触媒解析技術とフロー反応機構解明が深化している。今年度も、フロー反応の流路方向をOperando観察するX線(XAFS)-赤外(FTIR)分光の同時測定システムを開発し、触媒反応中の『触媒の局所構造』と『触媒上の吸着形態』を同時に可視化して特殊反応場の反応機構などの解明を検討した。申請者はこれまで、OperandoやXAFS-FTIR同時測定システムの開発に成功しており、その内容を応用するものである。
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