研究実績の概要 |
本研究は、Pdクラスター構造を ZrO2やCeO2 担体へ吸着させ、その電子状態の違いから触媒活性のメカニズムの理解を進めることにある。今年度はまず、Pdクラスター (Pd2, Pd3, Pd4, Pd5, Pd6, Pd7, Pd13, Pd19)の安定構造を探索し、安定構造の元でのXANESスペクトルの理論計算を行った。理論計算は、Pd-foil において、様々なパラメーター(MT半径など)の元で計算を行い、実験結果と比較をすることで最適化をしたパラメーターを用いた。理論計算の特徴として、Pdクラスターの各サイト毎のスペクトル構造を求めることが出来る。特にクラスーター内部と表面では大きくPdの電子状態が異なり、XANESスペクトルが大きく異なることを見いだした。次にこの作成したクラスターをZrO2表面に吸着させた。この吸着には様々なパターンが考えられる。クラスターモデル毎に、Pdクラスターの各サイトをZrO2上の各サイトに吸着させたいくつかのモデル構造を仮定して計算を行った。その結果、最安定の吸着エネルギーと、それぞれのクラスターの移動エネルギーなどの結果を得た。さらに、担体表面におけるクラスターの被覆率の違いを理解するために、ZrO2 のスーパーセル構造を複数仮定し、それぞれ同様にクラスター吸着計算を行った。また、得られた電子状態から、Pd-cluster/ZrO2 におけるPd-K 吸収端のXANESスペクトルの理論計算を行った。ZrO2 との相互作用に起因するスペクトル起源の探索などの詳細な電子状態の解析まではまできていないが、Pd/ZrO2 から Pd小数クラスタ/ZrO2 へと連続変化する Pd-K スペクトルを得ることが出来ている。これらのクラスター数によるスペクトルの変化の傾向は、実験と一致する方向であることを見いだしている。詳細な議論は現在進めている。
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