研究課題/領域番号 |
20K05604
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
原口 直樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378260)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高分子触媒 / 有機分子触媒 / 高分子微粒子 / コアーコロナ / 不斉反応 / MacMillan触媒 / Diels-Alder反応 / フロー反応 |
研究実績の概要 |
本研究では、イオン性官能基化コアーコロナ型高分子微粒子を合成し、これとイオン性キラル有機分子触媒の反応により、低分子触媒と同等以上の立体選択性と不均一系触媒の回収・再使用性を併せ持つイオン結合型コアーコロナ高分子微粒子固定化キラル有機分子触媒を合成することを目的とする。次に、この高分子キラル触媒をバッチ式不斉反応に応用し、コア部である高分子微粒子のモノマー組成や粒径、コロナ部のモノマー組成、高分子構造、分子量や触媒部位の導入位置が不斉反応における反応性、立体選択性や高分子触媒の回収・再使用性に与える影響について調べる。ここで得られた知見を元に、フロー式連続反応に適した高分子触媒を開発し、実用的な光学活性化合物のフロー式連続合成システムを構築する。 本年度の研究実績として、1-5マイクロメートルの均一な粒子径とスルホン酸を有するコア-コロナ型高分子微粒子にイオン結合を介して導入したキラルイミダゾリジノン塩有機分子触媒により、シンナムアルデヒドとシクロペンタジエンのDiels-Alder反応をバッチ式反応で行い、その反応性、立体選択性、触媒の再使用性を調査した。特に、コロナ部の分子量が反応性に大きく影響を与えることを見い出した。このイオン結合型コアーコロナ高分子微粒子固定化キラルイミダゾリジノン塩触媒は遠心分離により、定量的に回収できると共に、その触媒性能を低下させることなく、数回の再使用が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究計画は、コアーコロナ高分子微粒子固定化型キラル有機分子触媒をバッチ式反応に用い、その触媒性能を検討することである。現在、この計画が達成できていることから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
バッチ反応の結果を踏まえ、コアーコロナ高分子微粒子固定化型キラル有機分子触媒を用いたフロー式連続不斉反応を行う。各反応における生成物の反応性や立体選択性から、各コアーコロナ高分子微粒子固定化型キラル有機分子触媒の触媒性能評価を行い、フロー式触媒反応に適したコアーコロナ高分子微粒子固定化型キラル有機分子触媒の精密分子設計を行う。さらに、低分子触媒の組み合わせでは実現困難な、酸触媒、イミニウム触媒、キラル塩基触媒によるフロー反応を試み、プロセス化学の観点から実用性の高い光学活性化合物の合成に注力すると共に、光学活性化合物のフロー式連続反応システムの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた機器修理が年度内に実施できなかったため、次年度実施予定である。その他の助成金は当初計画通りに実施する。
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