研究実績の概要 |
申請者が独自開発した、アルキン担持ビニルモノマーどうしのRAFT交互共重合と2種のアジ化糖との段階的ポストクリック反応を融合した交互配列グライコポリマーの合成法をもとに研究展開し、以下の研究成果を得た。(1)硫酸化糖担持GAGミミック型交互配列グライコポリマーを系統的に合成した。4位、6位硫酸化GlcNAc残基を担持したコンドロイチン硫酸E(CS-E)のミミックポリマー(4,6-CS-PVE)、3位、6位硫酸化GlcNAc担持型CSミミック(3,6-CS-PVE)ならびに3位、4位、6位硫酸化GlcNAc担持のGAGミミック型交互配列グライコポリマー(3,4,6-CS-PVE)の精密合成に成功した。これらは、ビニルエーテル(VE)単位を骨格に持つが、6位硫酸化GlcNAc担持型のCS-Cミミック(CS-C-PVE)のVE単位をスチレン単位に置き換えた誘導体(CS-C-PSt)の合成にも成功した。(2)GAGミミックに代表される交互配列グライコポリマーをバイオ分子認識のセンサー材料として社会実装することを念頭に置いて、ω末端にSH基を持つ交互配列グライコポリマーの精密合成を行った。得られた末端反応性交互配列グライコポリマーを金基板や金コロイドに固定化すると共に、ウシ血清アルブミン(BSA)を対照タンパク質としてレクチンに対する特異的認識能の定性的評価を行った。(3)本研究で系統的に合成したGAGミミックポリマーの細胞毒性評価を行った。VE単位を持つCS-C-PVEならびに非天然型GAGミミックとなる3,4,6-CS-PVEは、マウス胎児線維芽細胞(NIH3T3 cell)に対して0.1 mg/mL 以下の濃度で毒性を持たないこと、他方、St単位を持つGAGミミック型グライコポリマーであるCS-C-PStは、NIH3T3 cellに対して1.0 mg/mL 以下の濃度で毒性を持たないことを明らかにし、バイオマテリアルとしての可能性を検証した。
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