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2021 年度 実施状況報告書

人工酵素触媒を用いた精密酸化重合による高性能・高機能な芳香族ポリエーテルの合成

研究課題

研究課題/領域番号 20K05610
研究機関岡山理科大学

研究代表者

東村 秀之  岡山理科大学, 理学部, 教授 (00562224)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード人工酵素 / フェノール類 / 酸化重合 / 芳香族ポリエーテル
研究実績の概要

人工酵素触媒を用いることにより、両オルト位に置換基のないフェノール類の精密酸化重合法を見出し、新規な芳香族ポリエーテル類の合成を行っている。本研究では、該ポリマーのさらなる高性能化と機能性付与を目指し、本法のスコープを拡大することを目標とする。具体的には、(A)嵩高い基を導入して誘電率を低くする、(B)反応性基を導入して、多孔質化で誘電率をさらに低くする、(C)push-pull置換基をもつポリマーを合成し、高誘電性を発現させる。(A)及び(B)は高速通信デバイスの絶縁材料として、(C)は高耐熱性フィルムコンデンサー材料として有望である。
2021年度の成果は以下のとおりである。(A)2-フェニルフェノール酸化重合体につき、10GHzでの誘電率が2.22を示し、全芳香族炭化水素系ポリマーとして世界最小であることが判明した。このポリマーにアダマンチル基の置換を検討し、繰り返し単位あたり10unit%以上導入することができた。またモノマーにアダマンチル基を置換した2-(2-アダマンチル)フェノールにつき、重合条件を最適化して再沈殿と組み合わせることにより、数平均分子量(Mn)を1万程度まで向上させることができた。(B)トリメチルシリル基で保護した2-エチニルフェノールの酸化重合性を確認した。(C)人工酵素触媒を用いた酸化重合において、2-メトキシフェノールでは電子供与性のメトキシ基が触媒に配位して重合を阻害し、また5-シアノフェノールではシアノ基の電子吸引性により酸化重合不活性となった。しかし、2-メトキシ-5-シアノフェノールの酸化重合では、両置換基の共鳴効果によりこれらを相殺して重合可能となり、反応条件の検討結果からMnが1万以上のポリマーを得ることに成功した。従来触媒ではポリマー中にC=O不純構造が相当量副生したが、人工酵素触媒ではこれも抑制することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナ対策で研究を抑制せざるをえない期間があり、(B)についてはやや遅れているが、(A)及び(C)については順調に進展した。(A)では2-フェニルフェノール酸化重合体が超低誘電性を示すことが判明し、またポリマーおよびモノマーに嵩高い置換基を導入することを並行して進めることができた。(C)では2-メトキシ-5-シアノフェノールの酸化重合で、Mnが1万以上で、C=O不純構造の少ないポリマーを得ることができた。

今後の研究の推進方策

(A)及び(C)については、得られたポリマーを大量合成し、パウダー誘電率を測定する。(B)については、保護基を脱離したモノマーを用いた検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は新型コロナ対策で研究を抑制した時期があったが、2022年度は通常通りに研究を進捗できる見込みである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] A new poly(arylene oxide) with an extremely low dielectric constant as a fully aromatic hydrocarbon-type polymer2021

    • 著者名/発表者名
      Nakano Akiyuki、Tanabe Yoichi、Higashimura Hideyuki
    • 雑誌名

      Polymer

      巻: 237 ページ: 124345~124345

    • DOI

      10.1016/j.polymer.2021.124345

    • 査読あり
  • [学会発表] 人工酵素触媒を用いた2-フェニルフェノールの酸化重合による新規ポリアリレンオキサイドの合成2021

    • 著者名/発表者名
      中野晟志, 玉置星都, 田中陸雄, 田邉洋一, 東村秀之
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 人工酵素触媒による2-フェニルフェノールの精密酸化重合2021

    • 著者名/発表者名
      中野晟志, 橋口翔, 田邉洋一, 東村秀之
    • 学会等名
      2021年日本化学会中国四国支部大会高知大会
  • [学会発表] 2-フェニルフェノールの精密酸化重合とポリマーの高分子量化2021

    • 著者名/発表者名
      中野晟志, 浅尾直樹, 藤澤清史, 東村秀之
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会

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公開日: 2022-12-28  

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