研究実績の概要 |
有機金属触媒を用いた高活性,高立体特異的(cis-1,4- / trans-1,4- / 3,4- / 1,2-)ブタジエンあるいはイソプレン重合に関する報告例は多い.しかし, (E)-1,3-ペンタジエンのイソタクチック-トランス-1,4-特異的重合の報告例は少なく,新規触媒系の開発が必要である.最近ハーフサンドイッチ型希土類錯体触媒系が様々なアルケン類,ジアルケン類の重合反応に高活性,高立体特異性を示すことが知られている.そこで,本研究ではシクロペンタジエニル系の配位子を有するイットリウム錯体をトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートで活性化させて,トルエン中,25 °Cで(E)-1,3-ペンタジエン重合を行った.その結果,本錯体触媒系で得られたポリペンタジエンは比較的高分子量(Mn = 73 100, 169 900, 248 500)であった.とくに,ポリマーのイソタクチック(isotactic)構造選択率(mm)を示す値はmm > 95%およびトランス-1,4-構造選択率(trans-1,4)を示す値は trans-1,4 = 99%を有するisotactic-trans-1,4-ポリペンタジエンが合成できた.さらに,本触媒系に対し(E)-1,3-ペンタジエン仕込量と分子量および分子量分布の関係を調べた結果,isotactic-およびtrans-1,4-特異的リビング重合の進行を確認した. 一方,上記イットリウム錯体触媒の他に,スカンジウム錯体,ルテチウム錯体,ガドリニウム錯体の合成についても進めた.この結果,錯体合成は成功したが,単結晶の単離については未達成である.
|