研究実績の概要 |
有機金属触媒を用いた高活性,高立体特異的ブタジエンあるいはイソプレン重合に関する報告例は多い.しかし,(E)-1,3-ペンタジエン(EPD)のイソタクチック-トランス-1,4-特異的重合の報告例は少なく,新規触媒系の開発が必要であった.われわれは最近,ハーフサンドイッチ型イットリウム触媒系が,EPDのイソタクチック-トランス-1,4-特異的リビング重合を進行させ,生成ポリマーはmm > 95%(イソタクチック構造選択率:mm)およびトランス-1,4-構造選択率 = 99%を有するリビングisotactic-trans-1,4-ポリペンタジエン(ITPPD:ハードユニット)の合成に成功した.さらに,前述のイットリウム触媒系と極性の異なる2種類の溶媒(トルエン,クロロベンゼン)を用いて機能性ステレオブロックポリマー(伸縮率 > 2600%,リカバリー特性 > 94%)の合成を検討した.そ結果,生成したポリペンタジエン(ソフトユニットとしてアタクチックポリペンタジエンを含む:STBP)はもとのITPPDに比べ融点(Tm)が4℃低下し,エラストマー性が向上(伸縮率が1389%から2111%に向上)したが,リカバリー特性(SR)が24%であった.よって,さらに多くのソフトユニットが必要であることがわかった.よって,エラストマー性に関与する「アタクチックポリペンタジエン」あるいは「その他共役ジエンモノマーによるソフトユニット」の増加検討を進めた.この結果,IP(イソプレン)のリビング重合(アタクチック)の進行を確認した.さらに、EPDとIPのブロック共重合により”ITPPD-b-polyIP-b-ITPPD”(Mn = 156 900, Mw/Mn = 1.78, Tm = 57 °C, Tg = -48 °C)を合成した.得られたポリマーの機械物性を調査した結果,伸縮率 = 2399%,SR = 51%であった.以上の結果より,伸縮率およびSRは前回得られたSTBPより改善されていたことを確認した.
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