研究課題
本研究では、「双連続キュービック(Cub_bi)液晶の室温形成をいかに達成するか?」という問いに答えるべく検討を重ね、以下の成果を得た。(1)低分子室温Cub_bi液晶相の実現の試み:中央の水素結合部位の両側にベンゼン環とナフタレン環を1個ずつ配することで分子コアに非中心対称性を導入し、その両端には炭素数10のメチレン鎖を介して末端にジシロキサン鎖を付与した化合物が室温において100日程度、Cub_bi液晶相を維持することを明らかにした。分子コアの積層様式の温度変化と経時変化を追跡したところ、それぞれの芳香環に由来した、挙動の二面性が明らかになった。(2)低分子室温Cub_bi液晶の実現:末端にジシロキサン鎖とトリシロキサン鎖を付与した化合物の1:1混合液晶は、室温において準安定ながらも1年以上にわたりIa3d空間群のCub_bi液晶相を維持した。分子コアの積層様式は、一貫してコア二層構造の積層様式が維持されていた。(3)キラルなCub-bi液晶相の分子凝集構造の解明:静岡大・岡先生が開発された新しい位相選択アルゴリズムを用いて、この分野の長年の課題であった、キラルなCub_bi液晶相の分子凝集構造を解明した。空間群はI2_13であり、その構造は2本の三分岐のネットワーク構造からなる。競合して発現するアキラルなIa3d空間群のCub_bi液晶相のネットワーク構造との類似性を明らかにした。(4)高分子室温Cub_bi液晶の実現の試み:市販のポリシロキサンの側鎖に炭素数6のメチレン鎖を介して安息香酸を結合させ、ビピリジンやビピペリジンとの水素結合錯体を合成した。高分子体のみの試料においてはCub_bi液晶相の形成は見られなかったが、トリシロキサン鎖末端を持つ低分子体との複合体では、低分子体のみの試料より安定なIa3d空間群のCub_bi液晶相を形成することが明らかになった。
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