研究課題/領域番号 |
20K05624
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
寺本 英敏 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長補佐 (60391562)
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研究分担者 |
小島 桂 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (40370655)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝暗号拡張 / カイコ / 構造タンパク質 / ピロリシル-tRNA合成酵素 / 人工アミノ酸 |
研究実績の概要 |
本課題では、ピロリシル-tRNA合成酵素(PylRS)を利用する遺伝暗号拡張手法がカイコで有効であることを示すとともに、導電性等のユニークな特徴をもつ人工アミノ酸を組み込んだシルク繊維の生産を実現させ、構造タンパク質生産ホストとしてのカイコの有用性を実証する。前年度までに、ピロリジル-tRNA(Pyl-tRNA)遺伝子を全身で発現するTGカイコ(H20系統)を新たに作出し、既存のTGカイコ(H16系統、PylRS変異体遺伝子を後部絹糸腺で発現)とを交配した交雑系統(H16×H20)を作出した。本年度は、以下の研究を実施した。 ・異なる量(乾燥飼料に対して0.05~1.0重量%)の人工アミノ酸(Z-LysおよびTCO-Lys)を混合した人工飼料を調製し、H16×H20の5令幼虫に投与した。そして、フィブロイン生産量およびフィブロインへの各人工アミノ酸の相対的導入量の変化を解析した。その結果、Z-Lysでは飼料への混合量を大きく増大させてもフィブロイン生産量の低下は緩やかであり、フィブロインへの導入量も顕著には増加しないことが分かった。一方TCO-Lysでは飼料への混合量の増大にともないフィブロイン生産量は顕著に減少し、フィブロインへの導入量も徐々に増加した。 ・野生型カイコ、H16系統、H20系統へのTCO-Lysの投与実験を実施し、いずれの系統でもフィブロインへの導入は起こらないことを確認した。この結果から、後部絹糸腺でPylRSとPyl-tRNAとを同時に発現させることで始めてTCO-Lysをフィブロイン中に導入できることが明らかとなった。
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