研究課題/領域番号 |
20K05629
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山下 義裕 福井大学, 繊維・マテリアル研究センター, 教授 (00275166)
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研究分担者 |
朝倉 哲郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30139208)
田上 秀一 福井大学, 繊維・マテリアル研究センター, 教授 (40274500)
田代 孝二 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (60171691)
藤田 聡 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (60504652)
佐田 政隆 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (80345214)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナノファイバー / シルク / エレクトロスピニング / 細胞培養 |
研究実績の概要 |
シルクナノファイバーの細胞培養足場を制御し、Vero細胞の培養をした。このVero細胞をSARS-CoV-2に感染させたところ、ウイルスの増殖を確認した。 シルクフィブロインをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解後、濃度を2.5wt%に調整した後、18Gのニードルから1mL/時間の流量で、電圧10kVを印可しながらエレクトロスピニング法によりナノファイバーを作製した。シルクナノフィアバーの表面をフィブロネクチンで処理することでさらに細胞との接着性は向上した。ナノファイバーの繊維径は370nmであった。比較のためにウレタンナノファイバーを用いて同一の2.5wt%で作製したものは繊維径が670nmであった。この上でVero細胞培養を行ったところ、シルクナノファイバーを用いた方が細胞は多く培養された。またシルクナノファイバー層の厚みが厚い方が細胞数は増加した。一方、それぞれの溶液をキャストしたフィルム上では細胞培養数に変化は見られなかった。このことから、シルクナノファイバーの特性と繊維径の両方が細胞培養に起因していると推察された。 得られたシルクナノファイバーを用いて培養されたVero細胞をSARS-CoV-2に感染させたところウイルスの増殖が見られ、その程度はシャーレで培養されたVero細胞とどう程度であった。 シルクナノファイバーシートを3次元形状に加工することで、Vero細胞の大量培養が可能となり、今後のワクチン開発への応用の可能性も期待される結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分担者の協力を得ながら、シルクナノファイバーを用いた細胞培養能力についての研究は予定通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
シルクナノファイバー積層体の構造制御(繊維径、繊維配列、3次元構造)をしながら、Vero細胞が最も培養しやすい環境を構築する構造を模索するとともに、その他の細胞についても確認する。この制御に高速度カメラでのノズル先端のテーラーコーン観察と溶液の伸長粘度を含めた管理を取り入れて目的とする構造制御を実現する。このシルクナノフィアバー積層体で培養する細胞はVero細胞とマウスES細胞を用いる。シルクナノファイバーとの比較にウレタンナノファイバーを用いる。また両者をブレンドして比較することでシルクナノフィアバーの優位性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で研究方法を工夫することで物品費の使用を押さえ2021年度以降での執行を行うことでも予定通り研究を推進することが可能であったため。
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