ウェットプロセスによるウルトラハイバリアの達成には、ナノ空隙の抑制した緻密な無機膜の形成が重要である。本研究ではSi-Nを主骨格に有するポリシラザン(PHPS)をウェットコートにて成膜後、窒素下・室温にて真空紫外光(VUV光λ=172nm)を照射することで、緻密なSiNx膜を得ることに成功した。光緻密化PHPS膜をバリア層に用いることで、水蒸気透過度(WVTR)=5x10-5g/cm2/dayを達成した(世界最高性能)。加えて陽電子消滅法から水分子サイズ以上のナノ空隙はVUV光照射により減少することを確認した。光緻密化過程はSi-N結合の切断と再結合による原子再配置が重要であると考えている。
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