研究課題
ヨウ素環化反応を用いたヨウ素置換基を有する双性イオン化合物合成について検討した。チオアミジウム類合成では,ヒドロキシ基のようなプロトン脱離が可能な置換基を導入してもチオアミジウム塩が得られた。ヨウ素雰囲気下における電気伝導度は10の-6乗 S/cmであった。チアゾロイソキノリニウム類合成でも,カルボキシル基を有する原料においてもチアゾロイソキノリニウム塩が得られた。ヨウ素雰囲気下における電気伝導度を測定したところ,エステル部位を導入した化合物において10の-6乗 S/cmの電気伝導度が得られた。単結晶構造解析から導入されたヨウ素原子と対アニオンの間にハロゲン結合が確認でき,ハロゲン結合に基づくイオン間の相互作用が可能であることを見出した。さらに,相互作用の様式が電気伝導性に影響することを明らかにした。ヨウ素置換基の事前導入によるチアゾリウム-3-オラート類の電気伝導性について検討した。窒素上に4-ヨードフェニル基を有する化合物について,単結晶構造解析によりオラート部位とのハロゲン結合が確認された。ヨウ素雰囲気下における電気伝導度測定の結果,無置換体では測定限界以下であったものが,ヨウ素置換基導入によりわずかではあるが電気伝導性が付与されることが明らかになった。ヨウ素との複合体化により光沢発現と高い電気伝導度が得られている化合物の硫黄原子を窒素原子に置換した,ヒドロキシイミダゾピリジニウム双性イオン化合物を合成し,電気伝導度について検討した。ヨウ素雰囲気下での電気伝導性は10の-3乗 S/cmとなり,ヒドロキシチアゾロピリジニウム双性イオン化合物(10の-6乗 S/cm)よりも高い値となった。ヨウ素による複合体化を試みたが良好な複合体を形成することはできなかった。しかしながら,ヨウ素雰囲気下に置いた試料は,大気下に戻しても同程度の電気伝導度を維持することを明らかにした。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Journal of Molecular Structure
巻: 1264 ページ: 133306~133306
10.1016/j.molstruc.2022.133306