研究課題/領域番号 |
20K05646
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
吉野 惇郎 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (70553353)
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研究分担者 |
林 直人 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (90281104)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 感光性物質 / フォトクロミズム / カチオン性ホウ素 / 構造-物性相関 / 分子集合構造 |
研究実績の概要 |
令和2年度においては、ビピリジン配位子および9-BBN骨格を有する4配位カチオン性ホウ素錯体のなかでも、ビピリジン配位子上に種々の炭素数のアルコキシメチル基が置換した錯体、およびかさ高さの異なる種々のアリール基を有するアリールスルホン酸イオンあるいはテトラアリールホウ酸イオンを対アニオンとする錯体を合成した。合成した錯体のうち、ビピリジン配位子上に種々の炭素数のアルコキシメチル基が置換した錯体では、アルコキシ基の長さを変えることで、カチオン部分の電子的な性質には影響をおよぼさない一方で、結晶中での分子集合構造を変化させられることがわかった。さらに、結晶中でのカチオン部分のπ部位間距離が短いほど、固体に光照射した後の固体拡散反射スペクトルで現れる、光照射前にはなかった光反応生成物の吸収に基づくピーク波長が長波長シフトする傾向があることがわかった。合成した錯体のうち、かさ高さの異なる種々のアリール基を有するアリールスルホン酸イオンを対アニオンとする錯体においても、アニオンのもつアリール基のかさ高さの違いにより結晶中でカチオン同士およびカチオンとアニオンの間の距離が変化すると共に、これらの距離と光反応生成物の吸収波長の間に相関関係があることがわかった。これらのことから、カチオンおよびアニオン上でそれら自身の電子的性質には大きな影響を及ぼさない置換基の構造変更を行うことで、分子集合構造の変化を通して光反応生成物の吸収波長を調節できることが明らかになった。分子構造変化と分子集合構造の変化、分子集合構造と光応答挙動の具体的な相関関係が明らかになったことは光応答性ボロニウム錯体の光応答挙動を分子構造から予測可能にするための重要な進展である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は当初計画で予定していた、ホウ素上の置換基構造を種々変更したビピリジン-4配位カチオン性ホウ素錯体の合成や酸化電位の異なる種々の対アニオンを有するビピリジン-9-BBN型錯体の合成が完了しなかった一方で、次年度以降の予定の一部であった、ビピリジン配位子上に種々の炭素数のアルコキシメチル基が置換した錯体、およびかさ高さの異なる種々のアリール基を有するアリールスルホン酸イオンあるいはテトラアリールホウ酸イオンを対アニオンとする錯体の合成と、その一部の構造、物性、および光応答性の検討を先取りして行うことができたため、計画全体のなかでの進捗率としては概ね予定の範囲内である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、当初計画から先取りして令和2年度に得られた成果の補充的検討を行うほか、 当初計画の令和2年度分のうちまだ未完了の部分を推進する。令和4年度は当初計画に従って研究を進める予定である。これらの検討成果をとりまとめ、学会発表および学術論文等で成果発表を行う。
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