本研究では、印加交流電場の周波数変化により液晶分子の配向方向を制御して(二周波駆動方式)異方的な形状変化を引き起こす液晶アクチュエータの作製を目指してきた。具体的には、交流電場の周波数の違いにより異なる誘電率異方性を示す二周波駆動液晶を用いて球状液晶エラストマーを新規に合成し、電場応答性を持つ微小サイズアクチュエーターへの応用を図った。 球状液晶エラストマーを作製する際にはフローフォーカシングデバイスを用いた。流速を制御することのできるシリンジポンプで液晶モノマー、架橋剤、光開始剤を溶解させた有機相を流し込み、デュアルポンプで界面活性剤を溶解させた水相を有機相よりも早い速度の流速で流し込むことによって水相の中に有機相の液滴を作製し、細い管の先端でUVを照射し架橋反応を行うことで球状液晶エラストマーを得た。 液晶モノマーおよび架橋剤の分子構造に注目し、組成比などを調整しながら種々の球状液晶エラストマーを作製した。その中で、液晶性を示す剛直部位が高分子主鎖中に含まれている「主鎖型球状液晶エラストマー」において、電場印加による形状変化を観察することができた。0.1 Hzの交流電場を印加した際に球状エラストマーの形状が球形から楕円形に変化し、印加電場方向に対して平行方向に伸長した。また、電場強度の増加に伴い、その変化量が大きくなることも見出した。電場を除去した際に形状が元の形に戻る様子も観察され、外部刺激(電場)に対して可逆的な変形を示す球状液晶エラストマーを得ることができた。
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